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年度 | 2022 |
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科目名 | 日本近代文学概論 |
担当者名 | 山本 欣司 |
単位 | 2.0 |
科目目的 Course Objectives |
日本近代文学を学習・研究するのに必要な知識を習得し、日本文学研究の様々な観点を知る。また本科目は、中高教科国語、高校教科書道を教授するに足る基礎的知識および技能等を修得し、教職実践力と関連づけて理解することを一目的とする。 |
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到達目標 Class Goal |
日本近代文学について、大学での学習・研究に必要な視点を獲得している。教職課程履修学生は、学修内容を当該の中高教科内容および教材に関連づけて主体的に探求する。 |
授業内容 The Content of the Course |
夏目漱石「坊っちゃん」の精読を通して、近代小説の特質そのものを学ぶ。 夏休みの読書感想文の課題として、あるいは教養のために、夏目漱石「坊っちゃん」を読んだことのある人は意外に多いと思う。何だかドタバタして面白い小説だったという印象を持ったのではないか。その「坊っちゃん」を精読することを通して、小説を読むことの難しさ・面白さを知ってもらおうというのがこの授業のねらいである。あわせて、漱石「夢十夜」の分析も行う。 小説の解釈に正解はあるのか? このような疑問に対して、私はためらいなく「誤答はある」と答える。流し読みによる見落としや、先入観に基づく妄想読みをする学生がけっこういるからだ。しかし正解となると、即答するのは難しい。文学作品は多義的で、妥当な解釈が複数あることが当たり前だからである。 社会常識的には作者の意図が、作品の意味を縛ると考えられているが、そもそも作者の意図など分からないのが普通。また、作者にしても意図通りに描けるとは限らない。意図通りに描けるなら、書店には名作が溢れているはずだが、現実には、駄作・失敗作の方が多いのかもしれない。 結局のところ、「説得力のある解釈」というものは、本文を根拠として読者一人ひとりが作るしかないのである。このような立場を「読者論的立場」という(←作家論的立場とは、正反対といってもよい)。 基本的に、国語の授業はこの「読者論的立場」からなされている。現代文の入試問題にしても、作者に関する知識があったとしても、むやみにその知識を活用すると、本文に書いていないことまで読み込んでしまうため、正解を見誤ることが多い。国語という教科においては、本文を書いてあるとおりに読解する力を養成することが重要で、その力を計るために入試問題はあるのだから、ちゃんと本文を論理的に読めば、正解は導き出せるのである。 授業では、以上のような意図で、読解力のもととなる精読を心がけたい。 |
授業計画 Class Plan |
授業では、受講生自身が作品を丁寧に読み取り、分析を行うことになる。何となくではない、根拠をもった解釈ができるようになることが目標である。 語り手という概念や視点、プロットとストーリーなど、近代小説の方法についても詳しく学ぶことになる。 第1回…日本近代文学とは何か 第2・3回…夏目漱石の紹介 第4〜11回…「坊っちゃん」の分析 第12〜14回…「夢十夜」の分析 第15回…まとめと到達度の確認 教員免許取得希望者は、現代文(小説)の扱い方を学ぶという意味でも、積極的な態度で受講してほしい。分析方法を身につければ、将来絶対に役に立つので。 |
授業方法 Class Method |
丁寧に、夏目漱石「坊っちゃん」と「夢十夜」を分析する。研究論文なども紹介しながら、できる限り深く、内容を読み解いていきたいと考える。 明治期に書かれた漱石の小説となると、時代背景など知らないことだらけで難解に感じるかもしれないが、「坊っちゃん」を丁寧に読んでいくと、たいへんおもしろく、しかし残酷な世界が見えてくる。 ただし、こちらが一方的に話すだけでは、みなさんの読解力が向上しないため、意見を書いてもらったり、質問に答えてもらったりする予定である。 講義形式だが、学生参加型の授業を目指していく。 |
Google Classroom クラスコード Google Classroom - Class Code |
ldzdwxd https://classroom.google.com/c/NDUwMjk3MjA3MTcx?cjc=ldzdwxd |
アクティブ・ラーニングの形態 Form of Active Learning |
さまざまな場面について、意見や解釈を述べてもらうことで、授業参加を促す。 |
準備学習(予習・復習等) Review and Preview |
「坊っちゃん」について初読時のレポートを提出した上で、受講生自身にさまざまな角度から分析を行ってもらう予定である。「夢十夜」についても、作品ごとに意見を求める。 そのため、積極的な予習(作品を読んでくること)や授業参加が必要となる。 教職課程履修学生は、教育実習での研究授業場面や卒業後の授業での指導場面を想定して、当該科目の修得内容を活用しつつ、自主的・主体的に教材研究に取り組む。その際、当該教科の学習指導要領、教科書等を積極的に活用する。 |
評価方法 Evaluation Method |
・平常点(100点) 平常点等配点内訳:さまざまなレポート、課題、小テストなど(6割)。 授業への積極的参加度(4割)。 |
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法 Task Feedback |
提出されたレポートや、時々書いてもらう小課題については、よく書けているものを取り上げて詳しくコメントを付すなどして、どのように考えて、どのように表現(執筆)すればよいか分かるようにする。 |
教科書 Textbook |
坊っちゃん/夏目漱石/新潮文庫 |
参考書 Reference Books |
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因/西林 克彦/光文社新書 |
地域との連携 Cooperation with the Community |
特になし |
受講上の注意 Notices |
本文を少しずつ読み深めていくため、出席を重視する。 教職課程履修学生は、この授業科目終了後、教職課程履修カルテの自己評価シート欄に必要事項を必ず入力すること。また成績評価発表以降に、成績とともに担当教員によるコメントを参照し自己の学習状況について把握する。 |
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連 Relation to the Diploma and Degree Policy |
1.知識・理解 1-1 日本語および日本文学に関する基礎的・専門的知識を修得している。 3.思考・判断 3-1 日本語・日本文学に関して身につけた専門的知識を捉えかえし、批判的に考察する能力を備えている。 |
実務経験と授業との関連 How the Instructors' Experiences will shape Course Contents |
高校での講師経験や、大学での教職指導経験、また大学入試センター出題委員(国語)などで入試問題作りに精通していることにより、小説の読解に関して充実した授業を行うことができる。 |
教科書コメント |
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