シラバス参照 |
年度 | 2022 |
---|---|
科目名 | 繊維学実験 |
担当者名 | 澤渡 千枝 |
単位 | 2.0 |
科目目的 Course Objectives |
「繊維学」で学んだ基礎知識について、実験をとおして理解を深める。さらに、高度化、複雑化している衣料品の品質管理や苦情処理に対応するための衣料素材の鑑別法や、事故原因の鑑定方法などの技術習得を目的とする。 |
---|---|
到達目標 Class Goal |
繊維の形態や性質について、実験をおこなうことで実際に体感することによって、さらに理解を深める。さらに、繊維製品に生じた事故原因の究明や苦情処理の解明に必要な試験法を修得して、その能力を確かなものにする。特に、テキスタイルアドバイザーの取得を目指す学生は、社会で必須となる衣料やインテリア素材等の諸性能の理解に努め、さらに事故原因の究明や苦情処理の解明ができる能力をしっかりと修得する。 |
授業内容 The Content of the Course |
繊維・プラスチック材料は、被服やインテリアをはじめ、さまざまな生活資材として用いられている。実験をとおして繊維の性質(形態、燃焼性、染色性、耐薬品性、密度)と被服の性能との関係を理解する。実験を安全・正確におこなうための心構えと準備、ガラス器具や化学薬品、素材の扱い方等を習得すると共に、顕微鏡などの汎用機器の扱いを習得する。 実験のテーマとして化学繊維・合成繊維の製造実験、既知および未知繊維の鑑別、混紡製品の混用率の算出、繊維加工(マーセル化など)によって繊維素材への基礎的理解を深める。 |
授業計画 Class Plan |
第1回 ガイダンスと演習 実験実習授業の受講にあたっての注意とシラバスの確認。実験についての一般的な注意。 数値の取り扱いと誤差。レポートの書き方を確認する。受講者の班分け。 ガラス器具の取り扱い方の確認や繊維学で学んだ繊維の基礎に関する演習をおこなう。 第2回 ガスバーナーの使い方と簡単なガラス細工 軟質ガラスを用いた基本作業(切る,曲げる,伸ばす,つなぐ,閉じる)を習得し,実験に必要なガラス器具を整えることができるようにする(各自で作品提出)。硬質ガラスの加工法についての知識を得る。 第3回 高分子の合成実験 ナイロン66の合成 ナイロン66の界面重縮合を行い、ガラス棒に巻き取る。洗浄と乾燥後、次回に得られた物質を秤量・観察する。 さらに熱に対する性質を観察し、曳糸性を確認することで溶融紡糸の概念をつかむ。 第4回 繊維鑑別実験 燃焼実験および光学顕微鏡観察(側面観察) 未知の繊維を鑑別しようとするとき、まず対象物を前にして効率の良い鑑別計画をたてることが重要である。一般に、肉眼での観察を経て最初に行われる燃焼実験と顕微鏡観察について習得する。 燃焼法では繊維を植物系・動物系・合成系に大別でき、些細な変化を見逃さなければさらに詳細な情報が得られる。 顕微鏡による側面観察では、繊維の生成過程による情報が得られる。 第5回 繊維鑑別実験 顕微鏡観察(断面観察) 引き続き顕微鏡をもちいて断面観察を行う。 前回の結果とあわせて、燃焼と顕微鏡観察で明らかにできることと、判別可能なことを考察する。 第6回 繊維鑑別実験 試薬との反応(染色) 試薬(色素)の吸着や発色による鑑別を行う。 繊維の化学構造によって染着する染料の部属が異なることを利用した鑑別方法を理解する。 第7回 繊維鑑別実験 試薬との反応(溶解) 試薬による膨潤・溶解性による鑑別を行う。同時に強酸の希釈方法、潮解性のある試薬の取り扱い方法を習得する。 第8回 繊維鑑別実験 繊維の密度 重さと体積、密度(比重)、比容の概念を明確にし、繊維の密度を測定する。 第9回 繊維鑑別実験のまとめと未知試料の鑑別 これまでに習得した手法によって未知試料の鑑別をおこなう。 まとめとして、各班と情報交換し、鑑別手順や結果を共有する。 さらに機器による鑑別手段の概略を学び、より精度の高い鑑別法を考察する。 第10回 繊維鑑別実験 混用率の算出と繊維の吸湿性・絶乾重量・密度 繊維製品には2種または3種以上の繊維によって混紡されているものも少なくない。混紡(混用)率の算出に先立って、公定水分率、絶乾重量の概念を明確にとらえ、試料の絶乾重量を求める。 第11回 繊維鑑別実験 混用率の算出と繊維の吸湿性・絶乾重量・密度 前回絶乾重量を求めた試料について、JIS(日本工業規格)に従って試薬による溶解法を実施し、製品の混紡率を算出する。 結果を顕微鏡観察法と比較する。 第12回 繊維の改質実験 綿布のマーセル化と処理布の観察 綿製品について広く行われているマーセル化(水酸化ナトリウム水溶液での処理)を実施し、処理後の変化(繊維形態,染色性,吸水・吸湿性など)を観察する。 第13回 繊維の改質実験 綿布のアセチル化と処理布の観察 綿布を無水酢酸・酢酸・硫酸混合液で処理し、処理後の変化(繊維形態,染色性,吸水・吸湿性,熱可塑性など)を観察する。 第14回 化学繊維の製造 再生繊維はどのようにして製造されるのかを実験的に学ぶため、ビスコースレーヨンまたはリヨセルの製造方法を実験的に学び湿式紡糸および乾湿式紡糸の概念をつかむ。 第15回 実験のまとめと確認実験 これまでの実験結果の整理と追実験。提出済みレポートの講評。 (以上の実験予定は、実験の遂行状況によって変更することもある。) |
授業方法 Class Method |
実験は各班(5名程度)に分かれてグループ単位で行う。初回授業で班分けとオリエンテーションをおこなう。 各実験にあたっては,予習内容を確認し、目的,実験操作上の留意点について確認ののち、グループごとに実験を実施する。 実験後のレポートは個人で執筆し、課題ごとに提出する(提出期限はその都度指示する)。 |
Google Classroom クラスコード Google Classroom - Class Code |
dhderpc |
アクティブ・ラーニングの形態 Form of Active Learning |
・実験を通してグループで協力・情報共有をおこないコミニュケーション力を高める。 ・実験テーマによっては、各グループの結果を発表し、全体の情報を共有する。 ・実験・観察した事象の変化や特徴を捉え、そこから得られる情報を整理・統合しながら、傾向等を読み取ったり、モデルや図表等で表現したりするとともに、結果に基づき推論したり、改善策を考えたりする。 |
準備学習(予習・復習等) Review and Preview |
予習 ・前期に開講される授業「繊維学」と関連づけて進める予定なので、「繊維学」の受講を強く推奨する。 ・授業「繊維学」で使用する教科書等を参考にして、予習・復習に活用すること。 ・毎回の授業の約2日前に実験の解説動画をアップロードするので、毎回の授業開始時までには視聴するとともに、プリント冊子を熟読しておき、おおよその概念をつかんでから目的を持って授業にのぞむこと。 復習 ・実験をおこなったその日のうちに、実験条件,実験経過,実験結果を班員で共有し,整理しておくこと。 ・実験授業後は、実験結果を吟味するとともに、考察を含めたレポートを指定された期日までにまとめて、提出する。 |
評価方法 Evaluation Method |
・レポート[作品含む](60点) ・平常点(40点) 平常点等配点内訳:実験手順の手際と段取り(5点) 分析機器と実験器具の正しい取り扱い(5点) 無駄使いのない配慮(5点) 受講態度・リーダーシップ・協力(25点) |
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法 Task Feedback |
1)提出された初回レポートついてはルーブリック(レポートチェック表)に沿ってコメントを返却するとともに、授業中に記述の誤りや書き方・表現等について解説をおこなう。 2)その後のレポートについても,必要に応じて授業内で全員に周知する。 3)模範的なレポートの紹介など、さらによくするための工夫を示唆する。 |
教科書 Textbook |
プリントした冊子を配布する |
参考書 Reference Books |
実験を安全に行うために第8版/化学同人編集部/化学同人 続 実験を安全に行うために第4版 基本操作・基本測定編/化学同人編集部/化学同人 |
地域との連携 Cooperation with the Community |
|
受講上の注意 Notices |
・この科目は選択必修科目(実験科目2単位以上が必修)である。 ・この科目はテキスタイルアドバイザー資格の取得に必要な科目である。 ・前期に履修の「繊維学」と関連付けて進めるので,繊維学の基礎知識を習得・復習しておくこと。 ・実験授業は基本的に毎回の出席とレポートの提出によって完結するため、両者のいずれを欠いても評価不能となる。 ・実験中は初回授業で定めた班および座席に着き、必ず白衣または白衣に準ずる実験着を着用のこと。 ・毎回の出欠状況をMUSESで確認し、出席が反映されていない場合は次回の授業で申し出ること。 |
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連 Relation to the Diploma and Degree Policy |
1.知識・理解 1-2快適で健全な生活を形作るための、科学的・工学的な観点からの専門知識を有している。 2.技能・表現 2-1生活を構成する事象を定量的・論理的に分析し、問題の解決につなげることのできる技能を有している。 3.思考・判断 3-1 新たな課題に対し、論理的に考え、問題を解決する能力を身に付けている。 |
実務経験と授業との関連 How the Instructors' Experiences will shape Course Contents |
|
教科書コメント |
シラバス参照 |