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年度 2022
科目名 日本文学研究ⅢA
担当者名 山本 欣司
単位 2.0
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科目目的
Course Objectives
日本文学作品を講読し、日本文学および関連領域の専門的知識と研究方法を身につける。
到達目標
Class Goal
作品の講読を通し、日本文学の研究成果について理解している。また、日本文学を分析し、作品の特質を客観的に捉える態度と研究成果を批判的に読む力を身につけている。
授業内容
The Content of the Course
毎回、中学校・高校の国語教科書に掲載されていた小説を深く読み込み、作品の構造やテーマを把握する。
演習形式で、受講生それぞれの解釈をシェアしながら、それぞれの作品に向き合っていく。

小説の解釈に正解はあるのか?
このような疑問に対して、私はためらいなく「誤答はある」と答える。流し読みによる見落としや、先入観に基づく妄想読みをする学生がけっこういるからだ。しかし正解となると、即答するのは難しい。文学作品は多義的で、妥当な解釈が複数あることが当たり前だからである。
社会常識的には作者の意図が、作品の意味を縛ると考えられているが、そもそも作者の意図など分からないのが普通。また、作者にしても意図通りに描けるとは限らない。意図通りに描けるなら、書店には名作が溢れているはずだが、現実には、駄作・失敗作の方が多いのかもしれない。
結局のところ、「説得力のある解釈」というものは、本文を根拠として読者一人ひとりが作るしかないのである。このような立場を「読者論的立場」という(←作家論的立場とは、正反対といってもよい)。

基本的に、国語の授業はこの「読者論的立場」からなされている。現代文の入試問題にしても、作者に関する知識があったとしても、むやみにその知識を活用すると、本文に書いていないことまで読み込んでしまうため、正解を見誤ることが多い。国語という教科においては、本文を書いてあるとおりに読解する力を養成することが重要で、その力を計るために入試問題はあるのだから、ちゃんと本文を論理的に読めば、正解は導き出せるのある。
授業では、以上のような意図で、読解力のもととなる精読を心がけたい。
授業計画
Class Plan
第1〜3回…イントロダクション
第4〜14回…作品発表
第15回…まとめ

取り上げる作品は、
幸田文「あとみよそわか・うずまき」
芥川龍之介「トロッコ」
木山捷平「尋三の春」
永井龍男「黒い御飯」
梅崎春生「輪唱」
庄野潤三「ひばりの子」
黒井千次「子供のいる駅」
井上ひさし「握手」
内海隆一郎「小さな手袋」
杉山龍丸「ふたつの悲しみ」
安岡章太郎「幸福」
三浦哲郎「おふくろの筆法」
五木寛之「私が哀号と呟くとき」
向田邦子「字のない葉書・ごはん」
などである。

『教科書名短篇―家族の時間』による
授業方法
Class Method
受講生の発表と、それに対する質疑応答で授業を進める。いわゆる演習形式といわれるもの。
Google Classroom クラスコード
Google Classroom - Class Code
3dbmbdy
https://classroom.google.com/c/NDUwMjk3MjA5MDk3?cjc=3dbmbdy
アクティブ・ラーニングの形態
Form of Active Learning
受講生が順々に発表を行い、その後、質疑応答を行うため、非常にアクティブな学習となる。
準備学習(予習・復習等)
Review and Preview
演習形式を取るため、毎回、発表の準備や予習(作品の精読)が必要となる。積極的な授業参加が求められる。
評価方法
Evaluation Method
・平常点(100点) 平常点等配点内訳:授業への積極的参加度が10割
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法
Task Feedback
演習形式をとり、発表に対しては毎回、教員から助言を与える。
また質疑応答に対しても、適宜、アドバイスを行う。
教科書
Textbook
教科書名短篇―家族の時間/中央公論新社 編/中公文庫
参考書
Reference Books
わかったつもり―読解力がつかない本当の原因/西林 克彦/光文社新書
地域との連携
Cooperation with the Community
特になし
受講上の注意
Notices
毎回、取り上げる作品を何度も読み、深く考え、疑問点をスルーせず、議論の俎上に載せるように心がけてほしい。
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連
Relation to the Diploma and Degree Policy
3.思考・判断 3-1 日本語・日本文学に関して身に付けた専門的知識を捉えなおし、批判的に考察する能力を身に付けている。
3.思考・判断 3-2 日本語・日本文学の学習に基づく知性と感性によって、論理的・実証的に思考する能力および状況判断・問題解決の能力を備えている。
実務経験と授業との関連
How the Instructors' Experiences will shape Course Contents
高校での講師経験や、大学での教職指導経験、また大学入試センター出題委員(国語)などで入試問題作りに精通していることにより、小説の読解に関して充実した授業を行うことができる。
教科書コメント

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