シラバス参照 |
年度 | 2023 |
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科目名 | 日本文学研究ⅠB |
担当者名 | 山本 欣司 |
単位 | 2.0 |
科目目的 Course Objectives |
日本文学作品を講読し、日本文学および関連領域の専門的知識と研究方法を身につける。 |
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到達目標 Class Goal |
作品の講読を通し、日本文学の研究成果について理解している。また、日本文学を分析し、作品の特質を客観的に捉える態度と研究成果を批判的に読む力を身につけている。 |
授業内容 The Content of the Course |
森鴎外の短編小説を読む 毎週1つずつ読み込み、作品の構造やテーマを把握する。 演習形式で、受講生それぞれの解釈をシェアしながら、それぞれの作品に向き合っていく。 小説の解釈に正解はあるのか? このような疑問に対して、私はためらいなく「誤答はある」と答える。流し読みによる見落としや、先入観に基づく妄想読みをする学生がけっこういるからだ。しかし正解となると、即答するのは難しい。文学作品は多義的で、妥当な解釈が複数あることが当たり前だからである。 社会常識的には作者の意図が、作品の意味を縛ると考えられているが、そもそも作者の意図など分からないのが普通。また、作者にしても意図通りに描けるとは限らない。意図通りに描けるなら、書店には名作が溢れているはずだが、現実には、駄作・失敗作の方が多いのかもしれない。 結局のところ、「説得力のある解釈」というものは、本文を根拠として読者一人ひとりが作るしかないのである。このような立場を「読者論的立場」という(←作家論的立場とは、正反対といってもよい)。 基本的に、国語の授業はこの「読者論的立場」からなされている。現代文の入試問題にしても、作者に関する知識があったとしても、むやみにその知識を活用すると、本文に書いていないことまで読み込んでしまうため、正解を見誤ることが多い。国語という教科においては、本文を書いてあるとおりに読解する力を養成することが重要で、その力を計るために入試問題はあるのだから、ちゃんと本文を論理的に読めば、正解は導き出せるのある。 授業では、以上のような意図で、読解力のもととなる精読を心がけたい。 |
授業計画 Class Plan |
日本近代文学を代表する作家として、夏目漱石と並び称される森鴎外。明治23年の「舞姫」にはじまり、鴎外が小説や評論、翻訳等で大きな業績を残したことはよく知られていると思う。後期は、鴎外の大正期の小説を中心に取り上げ、研究発表形式で、文学研究の「いろは」を学んでもらおうと思う。少し難解で歯ごたえのある作品ばかりであるが、鴎外も面白いこと請け合い! 1.イントロダクション 2.どのようにすれば小説を深く読み取れるのか 3.研究発表 4.研究発表 5.研究発表 6.研究発表 7.研究発表 8.研究発表 9.研究発表 10.研究発表 11.研究発表 12.研究発表 13.研究発表 14.研究発表 15.まとめ 教科書として指定した新潮文庫2冊に収められた、「舞姫」「うたかたの記」「鶏」「かのように」「阿部一族」「堺事件」「余興」「じいさんばあさん」「寒山拾得」「杯」「普請中」「カズイスチカ」「妄想」「百物語」「興津弥五右衛門の遺書」「護持院原の敵討」「山椒大夫」「二人の友」「最後の一句」「高瀬舟」の中から、各自、研究したい作品を絞り込んでおくこと。 |
授業方法 Class Method |
受講生の発表と、それに対する質疑応答で授業を進める。いわゆる演習形式といわれるもの。 |
Google Classroom クラスコード Google Classroom - Class Code |
pahb5xu |
アクティブ・ラーニングの形態 Form of Active Learning |
受講生が順々に発表を行い、その後、質疑応答を行うため、非常にアクティブな学習となる。 |
準備学習(予習・復習等) Review and Preview |
演習形式を取るため、毎回、発表の準備や予習(作品の精読)が必要となる。積極的な授業参加が求められる。 |
評価方法 Evaluation Method |
・レポート[作品含む](60点) ・平常点(40点) 平常点等配点内訳:ディスカッションへの積極的参加度 |
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法 Task Feedback |
演習形式をとり、発表に対しては毎回、教員から助言を行う。 また質疑応答に対しても、適宜、アドバイスを行う。 |
教科書 Textbook |
阿部一族・舞姫/森鴎外/新潮文庫 山椒大夫・高瀬舟/森鴎外/新潮文庫 |
参考書 Reference Books |
わかったつもり 読解力がつかない本当の原因/西林 克彦/光文社新書 |
地域との連携 Cooperation with the Community |
特になし |
受講上の注意 Notices |
毎回、取り上げる作品を何度も読み、深く考え、疑問点をスルーせず、議論の俎上に載せるように心がけてほしい。 |
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連 Relation to the Diploma and Degree Policy |
1.知識・理解 1-2 人文・社会・自然に関する広範な知識を体系的に整理・理解し、日本語・日本文学の諸問題をその知識体系において把握している。 3.思考・判断 3-1 日本語・日本文学に関して身につけた専門的知識を捉えなおし、批判的に考察する能力を身につけている。 |
実務経験と授業との関連 How the Instructors' Experiences will shape Course Contents |
高校での講師経験や、大学での教職指導経験、また大学入試センター出題委員(国語)などで入試問題作りに精通していることにより、小説の読解に関して充実した授業を行うことができる。 |
教科書コメント |
シラバス参照 |