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年度 2024
科目名 衣料分析法
担当者名 澤渡 千枝
単位 2.0
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科目目的
Course Objectives
身の回りにある衣料品は、性能を向上させるため改良改質され、さまざまな試験に合格したものである。その過程においても顧客からのクレーム処理においても、迅速・正確な分析が必要とされている。汎用の分析機器全般について理解力と応用力を養成することを目的とする。
到達目標
Class Goal
科学的見地からクレーム処理、商品開発を担い得る基礎学力とテータの解析力を身につけることを目標とする。
授業内容
The Content of the Course
科学技術や情報技術の最近の進歩はめざましく、繊維鑑別や性能試験、加工剤の分析においても、高速化・高精度化・簡易化・少試料化が実現し、ボタンひとつ押せば測定と解析が自動的に行われてデータ解析までが終了する装置すらある。しかし、測定に適した試料の調整や、得られたデータを測定原理に照らして多面的に解釈する能力がなければ、データはただのゴミでしかない。この授業では繊維・高分子をはじめとする物質の分析において、品質管理、クレーム処理にも広く利用されている観察・分析機器の測定原理と特徴、測定結果の質と解析などについて、演習を交えながら学修する。
授業計画
Class Plan
第1回 機器分析をおこなうにあたって
機器分析とは何か,その目的と対象,種類と構成,安価な装置・高価な装置。
試料調製(サンプリング)と試料調整(コンディショニング)の重要性と注意点などを学ぶ。

第2回 ミクロからナノまでの観察:光学顕微鏡とその種類
光学顕微鏡は可視光が透過するガラスのレンズを用いて拡大観察する装置である。小学校時代から接してきた生物顕微鏡のほかにも、観察方法・観察方向が異なる金属顕微鏡,位相差顕微鏡,微分干渉顕微鏡,偏光顕微鏡,蛍光顕微鏡,倒立顕微鏡,などがある。これらの原理・特徴と観察対象についての知識を学ぶ。

第3回 ミクロからナノまでの観察:光学顕微鏡の調整と操作上の注意
生物顕微鏡および偏光顕微鏡の調整法および操作法を学ぶ。さらに偏光顕微鏡で得られる情報について知る。
顕微鏡観察データの記録法とオプション、および画像解析ソフトについての情報を得る。

第4回 ミクロからナノまでの観察:電子顕微鏡(EM)とその種類
電子顕微鏡は、目に見えない電子線を用いて試料を「見る」顕微鏡である。その原理と長所・短所を光学顕微鏡と比較しながら学ぶ。また、電子顕微鏡の種類(TEM, SEM, FE-SEM)とその特徴について知り、観察像以外に得られる情報の多様性を知る。

第5回 ミクロからナノまでの観察:走査型電子顕微鏡(SEM)の調整と操作上の注意
SEMについて,試料の準備方法と,観察時の注意点,観察条件によって得られる観察像の相違について学習する。

第6回 ミクロからナノまでの観察:走査プローブ顕微鏡(SPM)
SPMには、走査トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)がある。従来の顕微鏡とは異なり、観察像を得るために用いられるのは、電流や原子間引力である。これらの顕微鏡の原理と特徴、得られるデータの種類などについて理解する。

第7回 構造の解析:X線回折法
X線回折法で何がわかるのかをX線の発生、散乱と回折などの原理とともに学習する。主として繊維高分子の粉末X線回折について、観察対象となる構造のサイズ・向きと回折角度・方位角との関係のほか、散乱X線の検出器についても知識を得る。

第8回 構造の解析:X線回折法による繊維鑑別
繊維の広角X線回折像は,繊維を構成する高分子とその分子鎖の配向によって特徴的な繊維図形を示す。これらから、繊維鑑別や結晶化度の見積りもおこなえることを知り、それらの図形や回折強度曲線を見ながらその特徴をつかむ。

第9回 組成・状態の解析:X線光電子分光(XPS)
XPS法は,化学分析のための電子分光法(ESCA)とも呼ばれ、物質の表面分析に有効な分析機器である。ESCAの測定原理と表面分析に用いられるその他の分析法の長所・短所についても知る。

第10回 溶液の分析:紫外・可視分光法
紫外・可視分光法は有機化合物の濃度測定に多用されている。装置の構成や測定原理,測定対象や注意点を、スペクトルデータを見ながら学習する。

第11回 組成・状態の解析:赤外分光法による透過測定と反射測定
有機化合物の官能基の定性・定量分析に欠かせない汎用機器として赤外分光光度計が挙げられる。赤外分光法で何がわかるのか。その測定原理と、現在主流となっているフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)の構成について学ぶとともに、透過測定時の試料の調整における注意点と、測定データのとり扱いについて学修する。

第12回 組成・状態の解析:赤外分光法による反射測定 および 溶液の分析:核磁気共鳴法(NMR)
前回学んだ赤外分光法による反射測定に際して、用いられるアクセサリーと測定時の注意点、測定データの補正法やとり扱いについても学修する。
また、NMR法は有機化合物の構造決定に最も有力な装置である。試料が溶媒に不溶であれば固体NMR装置による測定が必要になる。NMR装置と測定原理,測定の注意点などについて知るとともに、一般的に併せて用いられる質量分析法(MS)についても知る。

第13回 熱による変化の解析:示差熱分析(DTA)と示差走査熱量分析(DSC)
DTAおよびDSCは、加熱や冷却による試料の熱の出入りを検出することで、試料の構造変化などを調べる方法であるが、計測方法が異なる。測定原理と測定の注意、データ解析について学習する。

第14回 熱による変化の解析:熱重量測定(DTA-TG), 熱機械分析(TMA)
DSCの応用法を例示するとともに、DTA-TGやTMAなどの熱物性測定について知識を得る。

第15回 その他の分析法と最近の進歩
複数の測定手段併用の重要性や同時測定による動的解析などのほか、最近のトピックスを紹介し合う。

授業方法
Class Method
対面講義形式が基本であるが、状況によっては一部オンデマンド形式や反転授業を導入する。
機器分析データの解析演習も含む。
授業者と受講者の意思疎通を補強するため提出課題にコメント欄を用意し、授業の振り返りにも使用する。
授業で用いる資料は、mwu.jpのクラスルームにアップロードし、予習復習に活用できるようにする。
Google Classroom クラスコード
Google Classroom - Class Code
4mgnltf
アクティブ・ラーニングの形態
Form of Active Learning
授業の振り返り質問によって講義内容の理解と定着を目指す。
まとめの課題では事例研究等の演習時間を取り、オンラインの時間が取れるようなら発表の場を設ける。
準備学習(予習・復習等)
Review and Preview
授業前にGoogle Classroomにアップロードされた資料に目を通しておくこと。
授業後は新しく学んだ用語の意味を確認しておくこと、および復習としてgoogle form によって課題を提出する.
授業で得た知識を応用・活用する場合を想定しながら授業に臨むことを推奨する。
評価方法
Evaluation Method
・平常点(100点) 平常点等配点内訳:毎回の授業での課題(5点×15回)75点
まとめの課題 25点

課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法
Task Feedback
1)毎回の授業での課題フォームに記入された質問等については、必要に応じて個々にコメントを記入する。
2)上記の内容によっては、授業内でコメントし、受講者全員に周知する。
3)課題フォームの問題に関する回答は後の回の授業でコメントし、誤りの多かった箇所について解説をおこなう。
4)まとめの課題で誤答の多かった問題の解説等は成績発表日以降に、クラスルームで閲覧可能にする予定。
教科書
Textbook
毎回の授業資料をClassroomにアップロードする。
参考書
Reference Books
有機化合物のスペクトルによる同定法 (第8版)/Silverstein, Webster, Kiemle (著) 岩澤 (訳)/ 東京化学同人
顕微鏡フル活用術イラストレイテッド―基礎から応用まで (細胞工学別冊―目で見る実験ノートシリーズ)/稲沢 譲治 津田 均 小島 清嗣/秀潤社
地域との連携
Cooperation with the Community
受講上の注意
Notices
・この科目は選択科目であり受講制限はないが、シラバスを熟読して科目目的と到達目標を確認してから、受講を判断すること。
・卒業研究で実験系研究室に所属する学生や、進路として品質管理や検査・分析・研究業務を希望する者にとって有用な内容である。
・この科目は、テキスタイルアドバイザー資格(1級)取得に必要な科目である。
・これまで開講されたテキスタイルアドバイザー資格科目(材料・加工の実験系科目)とも関連づけて進める。
・同期に並行開講される「衣料分析実験」と合わせて受講することにより、知識の定着と実際の観察・分析技術の習得が図れる。
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連
Relation to the Diploma and Degree Policy
1.知識・理解 1-2 快適で健全な生活環境を形作るための、科学的・工学的な観点からの専門知識を有している。
3.思考・判断 3-1 新たな課題に対し、論理的に考え、問題を解決する能力を身につけている。
実務経験と授業との関連
How the Instructors' Experiences will shape Course Contents
教科書コメント

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