シラバス参照 |
年度 | 2024 |
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科目名 | 動物と人間の比較行動学 |
担当者名 | 藤本 憲一 |
単位 | 2.0 |
科目目的 Course Objectives |
動物たちの環境適応戦略と行為選択こそ、すべての情報・社会行動の基礎となるモデルである。複雑な人間行動も、すべて動物の行動に由来している。マーケティング戦略や国際関係ゲーム理論の根本的理解は、生物進化の適者生存概念の知見なしには得られない。多様な動物たちの行動・生態事例を通じて、その背後にある、環境変化と合致した適応戦略の理解を目的とする。 |
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到達目標 Class Goal |
一見「かわいい」「無邪気」「他愛ない」動物行動の本当の意味とは何か、身近な事例に基づき、本質的理解をはかる。 とくに、人間との比較に立つ動物行動学(comparative ethology)の科学的知見に基づき、複雑な現代社会を見通す、透徹した法則知を、修得する。 自分の目と頭で、複雑な現代社会のメカニズムを解読し、対応する、社会共創力を身につける。 |
授業内容 The Content of the Course |
動物間の比喩・類推による比較行動学的視点に基づき、生物学におけるソシオバイオロジーなど最新理論や、バイオロギング(生物に小型のビデオカメラやセンサーを取り付けて画像やデータを記録し、行動や生態を調査する研究手法)をはじめとする最新技術を駆使することによって、難解な人間社会の情報行動についても、その本質的な起源と展開の事例として、具体的な映像テキストとして例示する。 その映像事例によって、自己保存・新陳代謝・敵対と交流・闘争と繁殖・利己と利他・情報受発信・テリトリー(縄張り)行動など、複雑な人間行動に対する深い洞察と理解を与える。 |
授業計画 Class Plan |
1 生物学と、文化・社会学における「情報」の意味 2 自己保存・新陳代謝・敵対と交流・闘争と繁殖・利己と利他・テリトリー行動・情報受発信 3 ローレンツと比較行動学 4 ヒト、犬・猫・鶏に会う 5 動物行動の起源と、人間における展開 6 マクロ進化とソシオバイオロジー 7 バイオロギング技術による、真の「鳥瞰(ちょうかん)」映像 8 動物映像作品・記録と、ヒューマン・ドキュメンタリーを比較する 9 自然誌『ナショナル・ジオグラフィック』に学ぶ 10 映像シリーズ『ナショナル・ジオグラフィック』に学ぶ 11 映像シリーズ『プラネットアース』に学ぶ 12 映像シリーズ『ディープブルー』に学ぶ 13 映像シリーズ『ネイチャー』『アース』に学ぶ 14 NHK『ダーウィンが来た!』に学ぶ 15 まとめ ※期間中にゲストスピーカーを招聘する場合がある。 |
授業方法 Class Method |
最新の生物学・行動学領域における映像記録・作品を、授業の基本テキストとして、人間社会と野生・飼育動物に共通する、行動の意味をレクチャーする。 映像事例と理論を共有した上で、相互討論・演習形式を援用し、概念的理解だけでなく、実践的・体感的な理解をはかる。 |
Google Classroom クラスコード Google Classroom - Class Code |
授業開始後に、受講者に開示する。 |
アクティブ・ラーニングの形態 Form of Active Learning |
学生と教員とのディスカッションをおこなう。 |
準備学習(予習・復習等) Review and Preview |
事前に、平素から、身近な飼育動物・野生動物の行動の意味を、人間の行動との比喩・類推・比較から、考察するよう、思考実験と概念トレーニングを行う。 また事前に、授業計画および授業方法に記載されているキーワードについて、調べておこと。 事後には、講義内容を復習し、専用のノートにまとめておくこと。 また関連文献を図書館等で調査し、読解するなどして理解を深めておくこと。 |
評価方法 Evaluation Method |
・平常点(100点) 平常点等配点内訳:小課題(20点)+最終課題(50点)+最終プレゼンテーション(30点) |
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法 Task Feedback |
課題・提出物については、評価後、コメントを記載したものを、授業中に配付する。 最終授業(まとめ)では、それまでの授業全体に対するフィードバックを行う。 |
教科書 Textbook |
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参考書 Reference Books |
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地域との連携 Cooperation with the Community |
特になし。 |
受講上の注意 Notices |
生物学・行動学に関する高度な専門的知識は、本講義の中でていねいに教示し、学んでいくため、不要であるが、動物行動と人間の情報行動について、基本的な常識は必要。 とくに、生命・情報と生態・環境に関する柔軟な好奇心をもつことが望ましい。 |
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連 Relation to the Diploma and Degree Policy |
2.技能・表現 2-1 豊かな感性と幅広い教養を身につけ、生活の中で、時代の流れを洞察して最適な選択を行える行動力を身につけている。 2.技能・表現 2-3 社会の仕組みを理解し、社会的な課題の解決に主体的に参加し、他者との協働を通じて、社会の発展に貢献する態度を習得している。 2.技能・表現 2-4 生涯に亘って自分の社会的キャリアを開拓していく意欲と向上心を身につけている。 |
実務経験と授業との関連 How the Instructors' Experiences will shape Course Contents |
月刊の自然・科学啓蒙機関誌『ライフサイエンス』編集者として、全世界における自然環境の実態や、野生動植物の生態・分布に基づき、自然環境や動植物に関する諸問題の普及・啓蒙・報道に携わった実務経験から、多様な自然環境問題・アニマルライツ(動物の生存権・倫理)問題・人間と動物との共生問題における重要点を、理論・実践の両面から指導する。 とくに自然・動物ジャーナリズムに接した実務経験から、写真や映像を通じて、視覚的に動物行動や生態の真実を客観的に観察・モニタリングした上で、自ら一個の「情報化社会のナチュラリスト」として情報発信していくための、理念と実際について指導する。 |
教科書コメント |
シラバス参照 |