シラバス参照 |
年度 | 2025 |
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科目名 | データ解析法 |
担当者名 | 尾崎 拓 |
単位 | 2.0 |
科目目的 Course Objectives |
「心理学統計法」および「応用心理学統計法」を履修した学生が、より高度な多変量解析法を身につけることを目的とする。多変量解析の基本的な考え方や、主要な統計モデルの具体的な分析方法と得られる統計量の解釈について、演習形式を併用しながら学ぶ。 |
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到達目標 Class Goal |
1.多変量解析の基礎的知識を身につける。 2.主要な多変量解析の手法を身につける。 3.多変量解析の分析結果を解釈できる。 |
授業内容 The Content of the Course |
心理学研究で用いる発展的な多変量解析の手法について学ぶ。とくに重回帰分析・因子分析・共分散構造分析については自身でデータ解析が実行し、結果を報告するのに必要な技能を習得する。このことにより、本科目で習得した技能を卒業研究および実務に応用できるようになることを目指す。それぞれの統計手法が連関していることに気づき、それぞれの多変量解析法を統合的に理解する。 |
授業計画 Class Plan |
第1回 ガイダンス・事前テスト・多変量解析で「できないこと」 授業の全体像や成績評価の方法、演習グループについて説明する。また、共分散と相関について、その計算および検定を習得できているかどうか確認する。また、多変量解析の限界について講義する。たとえば因子分析で抽出された「自尊感情」と「学校適応」に相関があったとして、その相関は果たして何を意味しているのだろうか。個人「間」相関をキーワードに考える。 第2回 重回帰分析①: 「応用心理学統計法」の復習 単回帰分析を行い、その結果を論文形式で報告する。 第3回 重回帰分析②: JASPによる重回帰分析 重回帰分析を行い、その結果を論文形式で報告する。 第4回 重回帰分析③: 重回帰分析のアナロジカルな理解 重回帰分析を行った場合に分散分析表が出力されるのはなぜだろうか。t検定、分散分析、単回帰分析、重回帰分析を一般線形モデルとして統合的に理解する。 第5回 重回帰分析④: バリエーション 説明変数や目的変数に質的変数が含まれる場合はどのように考えればよいのだろうか。一般化線形モデルを理解する。 第6回 重回帰分析⑤: 実践演習 実践的な文脈で重回帰分析を行い、その結果を論文形式で報告する。 第7回 因子分析①: 歴史的意義 知能研究を概観し、因子分析がどのような経緯で開発されたかについて理解する。 第8回 因子分析②: 分散共分散行列 多変量データを分散共分散行列の形で把握することを演習する。多変量の背後に共通の潜在因子があり得そうなことを体感的に理解する。 第9回 因子分析③: テクニック 因子数の決定・抽出法・回転などの因子分析実行時の分岐点について学習し、因子分析を実行する。 第10回 因子分析④: 実践演習 実践的な文脈で因子分析を行い、その結果を論文形式で報告する。 第11回 共分散構造分析①: 概観 共分散構造分析は構造方程式モデリングともよばれ、分散共分散行列から変数間の関係を明らかにする解析手法である。重回帰分析と因子分析を一括したものとして共分散構造分析をとらえる。 第12回 共分散構造分析②: シンタックスの壁 JASPはGUIであるところに特徴があるが、共分散構造分析についてはシンタックスを書く (プログラミングする) 必要がある。モデルのグラフィカルな表現とシンタックスによる記述が等価であることを理解する。 第13回 共分散構造分析③: 実践演習 実践的な文脈で共分散構造分析を行う。 第14回 共分散構造分析④: 実践演習・レポート作成 実践的な文脈で共分散構造分析を行い、その結果を論文形式で報告する。 第15回 改めて、多変量解析で「できないこと」 主要な多変量解析は「あたかも心についてのモデルを提供する」ように解釈されることが多い。しかし、この解釈には問題がある可能性がある。本科目で取り上げた個人間相関にもとづく多変量解析で言えることと言えないことの区別を理解する。 |
授業方法 Class Method |
各授業回は、統計手法についての講義と、データ解析の演習を組み合わせて進行する。ただし、第1回と第15回は講義とする。受講にはJASPがインストールされたパソコンを持参する必要がある。重回帰分析と因子分析はグループ演習とし、共分散構造分析は個人で演習する。 |
Google Classroom クラスコード Google Classroom - Class Code |
授業初回にクラスコードを連絡する。 |
アクティブ・ラーニングの形態 Form of Active Learning |
ディスカッション・グループワーク |
準備学習(予習・復習等) Review and Preview |
予習: 各回の統計手法の解説およびJASPの操作方法については、提示する資料を事前に読むこと。 復習: 演習課題に取り組むこと。 |
評価方法 Evaluation Method |
・レポート[作品含む](75点) ・平常点(25点) 平常点等配点内訳:第2回から第14回までの各回で、個人およびグループでの作業内容の記録を作成する。分析手順を理解していることが記録から読み取れるかどうかを評価の対象とする。 レポートに関して、重回帰分析・因子分析・共分散構造分析について、それぞれ実践演習課題のレポートを評価する (配点はいずれも25点とする) 。評価の基準は、解析方法の適切さ・手法選択の合理性・報告内容の適切さ・報告内容の詳細さ・文章の論理性である。 レポートはいずれも心理学論文の体裁で作成することを求める。具体的には、すでに記載されている「方法」節の内容を読み取り、適切な「結果」節を記述する。分析方法に絶対的な正解はない。自身が選択した手法の正当化が十分かどうかを重視する。 |
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法 Task Feedback |
提出されたレポートに対して個別にフィードバックする。 |
教科書 Textbook |
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参考書 Reference Books |
研究に役立つ JASPによる多変量解析――因子分析から構造方程式モデリングまで――/清水 優菜・山本 光/コロナ社 原因をさぐる統計学――共分散構造分析入門――/豊田 秀樹・前田 忠彦・柳井 晴夫/講談社 本当にわかりやすい すごく大切なことが書いてある ちょっと進んだ 心に関わる 統計的研究法の本 III/吉田 寿夫/北大路書房 |
地域との連携 Cooperation with the Community |
特になし |
受講上の注意 Notices |
本科目で習得する多変量解析法は、発展的な内容であり、卒業研究および実務に必要ない学生も多いことに留意して受講すること。「心理学統計法」および「応用心理学統計法」に合格していること、およびJASPで単回帰分析が実行できることを履修の前提とする。これらの前提が満たされていなくても受講はできるが、補習課題による追加的な自主学習が必要になる可能性がある。さらに、(X, Y) = {(2, 3), (3, 7), (5, 4), (6, 6)} について、分散、共分散、相関係数を求めて計算過程を説明できること、統計的帰無仮説検定の論理を理解していることを履修の前提とし、第1回の事前テストで確認する。この事前テストは無記名とし、自身の理解を確認することを目的として実施する。そのため、事前テストの結果によって受講できなくなることはない。 |
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連 Relation to the Diploma and Degree Policy |
1.知識・態度 1-1 心理学に関する専門的知識を有している。 1.知識・態度 1-2 心理学の方法論を理解している。 1.知識・態度 1-3 人間の心理や行動を科学的に捉えることができる。 2.技能・表現 2-1 心理学的方法論に基づいて情報を収集・分析することができる。 |
実務経験と授業との関連 How the Instructors' Experiences will shape Course Contents |
特になし |
教科書コメント |
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