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年度 2025
科目名 空間表現演習Ⅱ
担当者名 柳沢 和彦・浅田 晶久・大井 史江・清澤 悟・黒岩 絵里子・鈴木 利友・田川 浩之・武村 和紀・天畠 秀秋・中村 優花・南野 馨・山田 雅明・度會 保浩
単位 5
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科目目的
Course Objectives
多様な材料の特性を把握しつつ、「美」や「強」の視点から、より複雑な空間を構成する演習を行う。また、実際の建築物のスケッチを通して透視図の基礎を学ぶ。最後にこれまで学んできた空間構成手法を総合し、小規模な建築空間を設計することを目的とする。
到達目標
Class Goal
主に「美」の視点から、真に人間的な住環境を創生するために必要な基礎的造形能力と豊かな感性をより向上させる。
授業内容
The Content of the Course
図面表現や透視図の理解、釉薬による陶芸作品や瓦の制作、折った紙の組合せによる力学的で美しい形の発見、ステンドグラスの実習など、さまざまな演習を行うことで、教員、助手、学生が実践的な創作行為を共有する。
また「空間表現演習Ⅰ・Ⅱ」で学習した空間構成の手法を総合し、小規模の建築空間を設計する。
授業計画
Class Plan
週2日10週にわたって、下記の課題に取り組む。課題によっては順序を入れ変えたり、設計課題の期間に行うことがある。
1.甲子園会館の透視図(山田雅明:日建設計)甲子園会館のスケッチを通して、透視図の原理を理解する。また建築パースの第一人者から、樹木などの添景の描き方、着彩の手法などを学び、美しい手書きパースの技術を習得する。
2.陶芸(南野 馨:陶芸家 大阪芸術大学非常勤講師、度會保浩、武村和紀):自分で制作し、素焼きした作品に釉薬で絵付けや着色を施し、電気窯で焼成する。また、甲子園会館の外壁タイルを参考にして、石膏型を用いてレリーフタイルを制作し、同一タイルの組み合わせによるデザインを学ぶ。
3.木の造形(黒岩絵里子:組ム木工房・代表):木は立って美しく、切り倒した後 の素肌も美しい。木目、年輪があり、それぞれの方向に特性をもつ。日本の風土で培われてきた大工道具について理解するとともに、木を用いた造形作品に取り組む。
4.紙と力の理解による設計:紙を折ることで生じる力学的特性の変化を理解し、薄いコンクリート版で柱のない空間を覆う折板構造の小規模の建築物の設計を行う。
5.甲子園会館の瓦(浅田晶久:浅田製瓦工場代表):「たたら」という手法で粘土から瓦型を造形し、釉薬瓦を窯で焼成する。
6.ステンドグラス(度會保浩、武村和紀):ステンドグラスは建築空間において重要な表現手法の一つであり、聖堂の窓に多くみられるほか、F.L.ライトの作品でも多用されている。ステンドグラスの技法の学習を通して、建築設計におけるステンドグラスの重要性を理解する。

週2日5週にわたって、下記の設計課題に取り組む。
7.設計課題「祈りの空間」(清澤 悟:建築家、浄土真宗大谷派願得寺住職):光と影、太陽や月、深い森が建築空間と一体になって、祈りの空間は形成される。建築の配置、軸線や視線の方向性、開口部の取り方などが、その空間に独自の魅力を与える。日常の空間から非日常の空間へのアプローチには、さまざまな経路の屈折や結界が導入される。このような空間構成の手法を学習し、それらを駆使して、自己の内面と対話を交わしながら、美しい祈りの空間を設計する。

設計課題の授業の進め方は以下の通りである。
1日目 課題説明
課題の担当教員が課題の趣旨、設計条件、提出物、スケジュール等についてガイダンスを行う。課題の敷地や参考事例の見学は、授業時間中、もしくは並行して開講する「建築フィールドワークⅠB」において行う。
2~4日目 対話型演習
課題説明に基づき、各自が案を検討する。状況に応じて随時、教員が補足で説明を行う。出される宿題や、対話によって受けた指導に対応することにより、案の検討を進める。
5日目 中間講評
中間段階でのエスキス、スケッチ、スタディ模型などを提示、発表し、教員の指導を受ける。また学生、教員全員が今後の課題を共有する。
6~8日目 対話型演習
中間講評で受けた指摘に基づき案を修正し、図面や模型のプレゼンテーションを行う。手描き透視図のスケッチの指導も受ける。所定の提出期限までに図面、模型を完成させ、提出する。
9,10日目 講評会
提出した図面、模型を用いて、講評会を行う。講評会は2日間にわたり、学生の父母等や、学内の関係教職員に公開する。学生全員が発表し、他の学生や、2名以上の教員、専門家の講評を受ける。講評会では、他の学生の作品や発表、教員の講評等に関するコメントを書いて提出する。発表後の作品は、学生全員が所定の場所に展示する。
講評会や作品の展示を通して、学生のみならず担当教員も評価を受ける。必要に応じて授業内容や授業計画、授業方法等の改善をはかることにより、学科のFD活動の一環とする。
授業方法
Class Method
教員の説明、スタジオやアトリエにおける一対一の対話型演習、講評会における発表や教員の講評等を組み合わせる。
Google Classroom クラスコード
Google Classroom - Class Code
アクティブ・ラーニングの形態
Form of Active Learning
PBL(Problem-based learning:問題解決型学習)
準備学習(予習・復習等)
Review and Preview
「授業計画」の1.4.7.は、授業時間外にも作業を行う必要がある。一方、2.3.5.6.は、授業時間内に非常勤講師の指導を受けないと作品が制作できないので注意すること。各課題とも、所定の期限までに作品を完成し、提出すること。また指示があった場合は作品の写真を撮影し、提出すること。
評価方法
Evaluation Method
・平常点(100点) 平常点等配点内訳:各課題の評価(90点)、演習への積極的参加度(10点)。各課題の評価は、授業時間中の作品や発表、授業態度、提出物等によって行う。
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法
Task Feedback
「授業計画」の3.4.は各課題の最終日に講評会を行い、全学生の発表に対しコメントを行う。
7.の設計課題では、毎回の授業において、各学生が作成した設計案に対して教員が個別に対話型の指導を行う。中間講評および最終の講評会で、各学生の発表に対し個別に講評を行う。
不合格者に対しては、補習において個別指導を行い、必要な提出物の再提出を求める。
教科書
Textbook
第4版 コンパクト建築設計資料集成/日本建築学会編/丸善
参考書
Reference Books
地域との連携
Cooperation with the Community
授業時間中、または並行して開講する「建築フィールドワークⅠB」において、課題敷地および近隣の参考事例の見学を行う。
受講上の注意
Notices
「空間表現演習Ⅰ」を履修した学生、または再試験を受験中の学生のみ履修可。
刃物を使用する際は、必ず手袋を使用し、常に細心の注意を払うこと。作業場所は各課題終了後に必ず清掃すること。
補習、再試験について:定期試験において不合格となった学生は、所定の期間に再試験受験手続を行うとともに、2月中に開講する補習に必ず出席し、指示された提出物を期限までに提出すること。補習に出席しない場合は、再試験受験手続を行っていても原則として不合格とする。再試験において提出した提出物の点数は0.8をかけ、上記評価方法に基づく得点に加算する。再試験の評価において、60点以上の得点はすべて60点とする。
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連
Relation to the Diploma and Degree Policy
B.善美な情操 ◎B―1基礎的造形能力を培う。
D.高い知性、善美な情操、高雅な徳性の総合 ○D-1
※◎は特に対応する学習・教育到達目標、○は対応する学習・教育到達目標を示す。
実務経験と授業との関連
How the Instructors' Experiences will shape Course Contents
柳沢和彦・大井史江・鈴木利友・天畠秀秋・中村優花 各教員が建築設計等で培ってきた実務経験を活かし、主に「美」の視点から、造形課題、設計課題の指導を行う。
鳥巣茂樹・田川浩之 構造設計や構造実験の実務経験に基づき、力学的で美しい形にかかわる造形課題の指導を行う。
山田雅明 建築設計事務所における長年にわたる手描きパース制作の実務経験を踏まえて、表現力豊かなパース制作の指導にあたる。
南野 馨 陶芸/造形作家としての長年にわたる経験を活かし、陶芸作品の制作に関する技術的指導にあたる。
黒岩絵里子 木を用いた幅広い製作活動や木育ワークショップの経験を、技術的指導やアドバイスに活かす。
浅田晶久 伝統的な京瓦をつくる唯一の窯元としての長年の経験を活かし、瓦づくりに関する技術的指導にあたる。
度會保浩・武村和紀 作家としての長年にわたる制作経験を活かし、陶芸作品やステンドグラスの制作に関する技術的指導にあたる。
清澤 悟 鉄道会社の建築技術者および仏教僧侶としての実務経験を活かし、設計技術のみならず、精神的、宗教的課題に対する概念的な側面からの助言も行う。
教科書コメント

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