シラバス参照 |
年度 | 2025 |
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科目名 | 音楽科指導法Ⅳ |
担当者名 | 大澤 智恵 |
単位 | 2.0 |
科目目的 Course Objectives |
1.これまでの歴史と現在の課題を学び、中高音楽科の教員としての資質を身につける。 2.中高音楽科における教育の実践的課題を引き受け、授業を構想する教員としての実践力を探求する。 |
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到達目標 Class Goal |
①中高音楽科における教育の歴史を学び、自身の指導に取り入れることができる。 ②中高音楽科における教育の現代的課題を知り、対応する力を身につける。 ③中高音楽科における実践研究の動向を知り、授業設計の向上に取り組むことができる。 ④中高音楽科の特性に応じた情報機器の効果的な活用法を理解し、授業設計に活用することができる。 |
授業内容 The Content of the Course |
音楽科教育の歴史を概観した上で、現代の音楽科教育の課題について考える。 ICT導入が普及した現代における音楽科授業のあり方、臨場感ある視聴覚教材の提示方法、創作や演奏表現の学習活動やより柔軟な伴奏のための情報機器や電子楽器によるDAWの活用、アクティブラーニングの促進、発達障がいをもつ生徒を含む学級におけるインクルーシブ教育、ポピュラー音楽や民族音楽等の教材開発、音楽科教育と著作権・知的財産権、他教科とかかわらせた横断的学習、音楽教育学や関連学術分野における研究成果と実践との往還などについて検討する。また、今後も必要となることがありうるオンライン/ハイブリッド授業の実施やオンデマンド教材・動画作成・配信のための知識や技能を得るとともに、新たな技術等についての情報アップデートのためのリテラシーや創意工夫の方法を学ぶ。 受講生各自が自身の追究するテーマを設定し、それらに関する先行研究や実践事例を検討し、模擬授業をおこなった上で、レポートを執筆する。 |
授業計画 Class Plan |
以下の内容について教員による講義のほか、演習をおこなう。受講生各自が、自身の研究テーマを決め、それについて調査した内容や先行研究(論文等)の内容を紹介するほか、関連した内容の模擬授業を行う。第6回以降の内容として挙げたテーマのいずれかを扱うことを推奨するが、他に追究したいテーマがある場合は、教員と相談の上、扱うテーマを決定する。 第1回 オリエンテーション(各自のテーマの設定/文献調査、検討、発表、模擬授業、議論について) 第2回 音楽科教育の歴史と現代的課題 第3回 先行研究の探し方、プレゼンテーションのしかた、レポートのまとめ方 第4回 教室における、視聴覚機器・収録機材のセッティング、LMSの役割と活用例 第5回 遠隔授業(ライブ配信授業及びオンデマンド授業動画)の実施・作成方法 ―以降第14回まで、模擬授業の授業者は、草稿を提出し添削を受けてから修正・完成させた学習指導案模擬授業当日版を3日前までに、補助教材等の配布物は前日までに提出、各研究テーマの発表者は、発表資料を当日までにクラスルームから投稿する― 第6回 音楽のパフォーマンスサイエンス・技能研究/身体知・実践知・わざ言語 第7回 発達障がいと音楽教育、特別支援教育における音楽活動・音楽教育、音楽授業におけるインプロヴィゼーション 第8回 音楽科におけるアクティブラーニング(1):自ら意図して音楽を表現すること/日常生活と音楽 第9回 PC・タブレットを使用しDAWを用いた表現活動(創作および器楽の拡張)/音名と階名、絶対音感と相対音感 第10回 音楽科におけるアクティブラーニング(2):リテラシーの向上、音楽の背景や文化に関する調べ学習をもとに鑑賞や表現を深める、メタ認知の育成/音楽科教育と著作権・知的財産権 第11回 教材開発(1. 身近な地域の音楽の教材化、地域文化と音楽教育)/効果的な補助教材 第12回 教材開発(2. 日本の伝統芸能/世界の民族音楽/ポピュラー音楽(1地域1ジャンルを選び、教材化する)) 第13回 ICT導入が一般化した現代における音楽科教育のありかたを考える/LMSを活用した授業のマネジメント 第14回 音楽科における「評価」を考える/年間を通しての音楽科教員の業務の全体像 第15回 音楽科指導法を振り返って/今後自身が音楽教育に関して追究していきたいテーマの設定/教育実習に向けて 学習指導案最終版とレポート提出(全員) |
授業方法 Class Method |
課題発見・解決型授業 授業の進捗状況等により、取り扱う授業内容やその順序等を変更することがある。また、オンデマンド授業に切り替えることがある。 |
Google Classroom クラスコード Google Classroom - Class Code |
cct5zpm 招待リンク https://classroom.google.com/c/NzQ0ODA0MjQxMTQ1?cjc=cct5zpm |
アクティブ・ラーニングの形態 Form of Active Learning |
・各自が今後、自分の「専門」としていきたいテーマを定め、そのテーマに関する調査、プレゼンテーション、模擬授業、レポート執筆を行う。 ・発表者が提示したテーマについて、相互に意見を交換しディスカッションを行う。 ・他の受講生の発表時にはコメントシートを記入し、受講者相互の学習を促進する。 |
準備学習(予習・復習等) Review and Preview |
・各自の設定したこの授業での研究テーマに沿って、先行研究を入手し、よく読み込んで検討する。また、それらに関して自分の見解もあわせてプレゼンテーションできるよう、スライドや発表内容を準備する。 ・模擬授業の内容については、先行研究の検討や各自の創意工夫を生かし、オリジナリティのあるものとなるようによく考え、学習指導案を作成する。 ・模擬授業の3週間前までに学習指導案草稿を提出し、添削を受けること。また、履修者間でも相互にコメントしあい、より良い指導案の作成、模擬授業の実施に向け努力すること。 ・模擬授業は原則的に1人で行う。事前によく練習しておくこと。 ・他の受講生の紹介した文献や実践事例についても目を通し、自身の見解をもち将来の授業実践に生かせるようにすること。 ・レポート作成にあたっては、今学期はアカデミック・ライティングの書式を備えたものを執筆するため、レポートや論文の構成や文章の書き方などについて執筆に取りかかる前に確認しておくこと。 ・発表時・模擬授業には特に、生徒たちとのコミュニケーションや指示の伝達など各場面に適した声の出し方・姿勢・立ち位置・目線等はどのようなものであるかを意識して実践する。模擬授業等の録画を後日見返して、各自の話し方、動き方等を確認し、改善につなげる。教師としての身体性を身につけることができるよう日頃から心がけ努力すること。 |
評価方法 Evaluation Method |
・レポート[作品含む](40点) ・平常点(60点) 平常点等配点内訳:プレゼンテーション(10点)、模擬授業および学習指導案(30点)、発言・討論・模擬授業時生徒役としての貢献など積極的参加度(20点) |
課題(試験やレポート等)に対するフィードバックの方法 Task Feedback |
プレゼンテーションおよび模擬授業の際は、直後のディスカッションの際に、模擬授業とその学習指導案や資料について、良かった点、今後の課題等についてコメントする。また、レポートについては、初稿提出後にブラッシュアップのポイントや評価できる点についてコメントする。さらに、それを受けて完成させたレポート完成版に関しては、成績発表日以降のオフィスアワーにて評価のポイントを解説し、コメントする。 |
教科書 Textbook |
新版中学校・高等学校教員養成課程音楽科教育法/齊藤忠彦,菅裕 他/教育芸術社 |
参考書 Reference Books |
中学校学習指導要領解説 音楽編 平成29年7月―平成29年告示/文部科学省/教育芸術社 高等学校学習指導要領解説 芸術(音楽・美術・工芸・書道)編・音楽編・美術編/文部科学省/教育芸術社 平成29年版 中学校新学習指導要領の展開 音楽編/副島 和久/明治図書出版 音楽教育研究ハンドブック/日本音楽教育学会 (編集)/音楽之友社 音楽科における教師の力量形成/高見仁志/ミネルヴァ書房 はじめての世界音楽:諸民族の伝統音楽からポップスまで/柘植元一・塚田健一/音楽之友社 演奏を支える心と科学/R.パーンカット & G.E. マクファーソン/誠信書房 ポピュラー・リズムのすべて:ポップス、ロック、ラテンの分析と奏法/由比邦子/勁草書房 音楽知覚認知ハンドブック 音楽の不思議の解明に挑む科学/大串 健吾、 桑野 園子、難波 精一郎 (監修)、小川 容子、谷口 高士、中島 祥好、星野 悦子、三浦 雅展、山崎 晃男(編)/北大路書房 よくわかる音楽教育学/小川昌文・清水稔・田中路・田邊裕子・戸谷登貴子(編)/ミネルヴァ書房 段取り・計画が苦手!だから…仕事は要領! 無理なくデキる教師になれるスマート仕事術/俵原正仁/明治図書出版 図解 日本音楽史 増補改訂版/田中 健次/東京堂出版 「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料 中学校 音楽/国立教育政策研究所教育課程研究センター/東洋館出版社 子どもたちは音楽科授業にいかに参加しているか:知識と探究のマイクロ・エスノグラフィ/森 薫/ミネルヴァ書房 わざ言語:感覚の共有を通しての「学び」へ/生田 久美子・北村 勝朗/慶應義塾大学出版会 実践知:エキスパートの知性/金井 壽宏、楠見 孝 [編]/有斐閣 音楽心理学入門/星野 悦子 [編著]/誠信書房 哲学音楽論-音楽教育とサウンドスケープ/今田匡彦 [著]/恒星社厚生閣 音楽授業のユニバーサルデザイン はじめの一歩 (音楽科授業サポートBOOKS)/阪井 恵、酒井 美恵子/明治図書出版 中学校音楽「主体的に学習に取り組む態度」の学習評価完全ガイドブック/長谷川諒/明治図書出版 |
地域との連携 Cooperation with the Community |
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受講上の注意 Notices |
教職課程履修学生は、この授業科目終了後、教職課程履修カルテの自己評価シート欄に必要事項を必ず入力すること。また、成績評価発表以降に成績とともに担当教員によるコメントを参照し、自己の学習状況について把握すること。 模擬授業の際、授業者以外の受講生は「生徒」の視点または客観的な視点をもち、後のディスカッションやコメント記入の際に建設的な意見を出すことができるよう、集中してよく観察すること。 学習指導要領は、平成29年および平成30年告示のものを参照すること。 参考図書およびPDF資料を授業時に紹介・解説する。 参考図書に挙げた書籍のほか、現行の各社の中学・高等学校の音楽の教科書を適宜参照する。 教材研究及び学習指導案作成、教材作成及びプレゼンテーションやICTを活用した模擬授業等、PCを使用する必要のある場面が頻繁にある。特に必要な場合には事前に告知するが、できるだけ毎回PCを持参し、紹介されたツールや資料を手元で試用・確認できるようにすることが望ましい。なお、タブレットを使用可能な場合には、タブレットやスタイラスペン等も学習の助けになると考えられるため、所持している場合には積極的に活用することを推奨する。 学習指導案作成にあたり、既存の学習指導案を参考にして学ぶことは推奨されるが、剽窃が生じないよう十分に注意を払うこと。学習指導案各部分の作文の際には、素朴な文章表現でよいので自らの言葉で書くこと。 レポートは、学術的な探求の成果を報告するものとし、適切な文献引用とすっきりと読みやすい文体、目的と結論の対応性、論理的整合性なども重視される。 |
卒業(修了)認定・学位授与の方針との関連 Relation to the Diploma and Degree Policy |
Ⅳ 中高教科の専門性を踏まえて、授業等を計画的に実践する。 Ⅷ 教職実践と関連づけて、自らの課題を認識・発見し、探求し続ける。 |
実務経験と授業との関連 How the Instructors' Experiences will shape Course Contents |
高等学校および小学校での教員経験、音楽研究所の研究員としてカリキュラム開発のベースとなる研究活動に従事した経験により得られた知見を生かして解説および助言を行う。 |
教科書コメント |
シラバス参照 |