お知らせ

「留学生たちのクリスマス」(2019年12月24日号)

 

 ワルシャワからの便り、二便が届きました。音楽学部4回生の今井桃代さんからです。彼女もまたワルシャワ大学ジャーナリズム学部に留学中です。留学生のクリスマスの予定が生き生きと綴られています。

 「ワルシャワ大学の図書館。階段を30段ほど上り文字が彫刻された柱の間を通ると、すっと心のスイッチが入れ替わる。毎週水曜日13時までの授業の後、昼食を食べ図書館で予習をすることが私の週課(ルーティーン)だ。書架の間にある学習スペースで新聞を読んだり、分厚い参考書を読んだり、パソコンで難しそうな数式を見ていたりするのは母校や地元の図書館と何も変わらない。

 だがワルシャワ大学の図書館は机ごとに仕切り板はなく、一人のための机は武庫女の図書館の2倍ほどのスペースがある。隣の人が何についての研究をしているのか気になるが見えそうで見えない距離感だ。寮の自分の部屋で勉強することも好きだが、10代から孫がいてもおかしくないような世代まで幅広い年齢層の人たちがいる図書館は面白く、私が30、40代になって働きながらも大学で勉強することが、ここでは自然とイメージできる。現に私のクラスメイトも、大学を卒業して仕事をしながら再び授業を受けている。日本との違いを見つけることはとても楽しい。

 近頃ワルシャワ中心街に行くと、いつもより買い物袋を両手に持っている人が多い。クリスマスの期間は家族と過ごすため、友人たちは皆、故郷に戻る。年に一度、家族全員が集まる大切なイベントという位置づけは日本の正月と似ている。クリスマスイブには兄妹や両親、親戚ともプレゼントを交換するそうで友人たちはプレゼント準備に東奔西走している。1年で一番お金を使うと嘆いている友人もいる。日本では「ラッピング文化」があるが、ポーランドでは自分で包装紙を買いラッピングする。プロが包装したプレゼントも良いが、自分で包装するのも心がこもっているようで素敵だ。

 私のクリスマスは、ワルシャワから150キロ程離れたルブリンという町で友人の家族と23日から26日まで過ごす。ポーランドの家庭では急なゲストのため、料理などをあらかじめ一人分多く準備するそうで、ワルシャワ大学日本学科の岡崎恒夫先生の著書『ワルシャワ便り』(2019)で「事実、ある年のイブに一人の新聞記者が実際に何軒かの家のドアを叩いたら、どの家庭でも余分の席が用意されていて、招待を受けた」という文章を読んでから、私もポーランドの家庭でクリスマスを過ごしてみたいと思っていた。友人が私を招待すると言ってくれた時は心の底から嬉しく光栄だった。ともに留学している中安瞳さんも、300キロ近く離れたバルト海に面したグダニスクで友人の家族とクリスマスを過ごす。クリスマス後、それぞれの家庭での過ごし方を語り合うのが楽しみである。」

                
                 ワルシャワ大学の図書館