意匠の研究

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風景構成法






風景構成法の作品



A. 学術論文(審査付)



[A-01]

風景構成法の「枠」に対する「川」の類型化およびそれに基づく空間構成に関する一考察

−幼稚園児から大学生までの作品を通して−

Author(s):
柳沢和彦、岡崎甚幸、高橋ありす

Publication/Publisher:
日本建築学会計画系論文集,第546号,2001年8月掲載予定

Abstract:
 風景構成法における空間構成の発達の変容を明らかにすることを目的として、幼稚園児から大学生までを対象に、風景構成法を実施した。ここでは特に風景構成法の特徴である「枠づけ」に着目し、最初にまず描かれる川が「枠」に対して如何なる形式をとるのかを分析した。その結果、「此岸なしの川」「左右の枠を結ぶ水平の川」 「左右の枠を結ぶ斜めの川」「隅の川」「上下の枠を結ぶ垂直の川」「上下の枠を結ぶ斜めの川」「上枠と横枠を結ぶ川」「下枠と横枠を結ぶ川」「先細りの川」「山から流れ出す先細りの川」という10種類の「川」の類型を抽出した。そして得られた川の類型に基づいて、空間構成の発達の変容を明らかにした。


B. 大会発表論文



[B-01]

描画考察に基づく表現様式と空間関係に関する考察

-幼稚園児の風景構成法について その1-

Author(s):
柳沢和彦、岡崎甚幸、高橋ありす、阿部麻衣子

Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(中国)、pp.787-788、1999年9月

Abstract:
 我々は空間図式研究の一環として幼稚園児に居住空間構成法、描画、風景構成法を実施している。本論では幼稚園児の風景構成法に見られた表現様式と空間関係の特徴を明らかにする。表現様式の主な特徴は三つに分けられる。「構造化前」ではスクリブル、円がある。「構造的萌芽」ではオタマジャクシ、四角や三角がある。「構造化」では組立画、家の典型的様式、基底線などがある。空間関係の主な特徴は二つに分けられる。「構造化前」では要素間の関係のないならべ描きが、「構造化」では大景要素或いは中小景要素の関係付け、そして大中小景要素相互の関係付けがある。



[B-02]

原初的から構成的萌芽への段階

-幼稚園児の風景構成法について その2-

Author(s):
阿部麻衣子、岡崎甚幸、柳沢和彦、高橋ありす
Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(中国)、pp.789-790、1999年9月

Abstract:
 幼稚園児の風景構成法は四つの構成段階に分けることができる。本論ではその中で、前半の「原初的」「構成的萌芽」の二つの段階について報告する。「原初的」段階は居住空間構成法作品における「原初的」段階に相当し、表現様式は構造化前でスクリブルや円を中心とする。また空間関係も構造化前であり、要素間関係の存在しないならべ描きとなる。「構成的萌芽」段階は居住空間構成法の「場の発生」段階に相当し、表現様式は構造的萌芽で四角や三角が中心となる。空間関係は並べ描きであり、依然として構造化前の段階である。



[B-03]

部分的構成から全体的構成への段階

-幼稚園児の風景構成法について その3-

Author(s):
高橋ありす、岡崎甚幸、柳沢和彦、阿部麻衣子

Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(中国)、pp.791-792、1999年9月

Abstract:
 本論では幼稚園児の風景構成法の四段階のうち、後半の「部分的構成」「全体的構成」の二つについて報告する。「部分的構成」段階では、表現様式と空間関係がともに構造化されている。表現様式では未だ基底線が見られず、空間関係は大景要素あるいは中小景要素の関係付けである。これは居住空間構成法における「囲いと場の共存」段階の前半に相当する。「全体的構成」段階での表現様式では基底線が描かれ、空間関係は大中小景要素相互の関係付けである。これは、居住空間構成法では「囲いと場の共存」段階の後半と「壁による全体統括」の段階に相当する。


[B-04]

羅列および水平の川による構成

-小学生の風景構成法について その1-

Author(s):
高橋ありす、岡崎甚幸、柳沢和彦

Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)、pp.1129-1130、2000年9月

Abstract:
 我々は空間図式の解明を目的として、居住空間構成法や描画を用いた実験を行ってきた。今回は小学生に風景構成法を実施し、「川」の類型及び作品構成の全体的な特徴を考察した。本稿は、「羅列」及び「水平の川」による構成を報告するものである。「羅列」では、アイテム間に関係が見られずほぼ教示順にアイテムが羅列される。「此岸なしの川」は枠が川の下縁になっているものである。断面的な表現、上下で奥行きが感じられるような層的構造、また川の水面が斜めになり僅かながらの奧行き表現の芽生えなどが見られる。「枠から離れた水平の川」では、幅を持つ川によって画面が上下に分割される。層的構造が明確になってきたと言える。


[B-05]

垂直および斜めの川による構成

-小学生の風景構成法について その2-

Author(s):
柳沢和彦、岡崎甚幸、高橋ありす

Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)、pp.1131-1132、2000年9月

Abstract:
 本研究では、小学生の風景構成法における「川」の類型、そしてこの時の作品構成の全体的な特徴を各被験者にわたって横断的に考察した。小学生の作品では水平の川による構成の後に垂直の川や斜めの川が出現する。本稿は垂直及び斜めの川について考察するものである。以下の九つの類型、奥行きを帯びてくる「左右の枠を結ぶ斜めの川」、「隅の川」、「途切れた川」、「垂直に立つ川」、「上下の枠を結ぶ斜めの川」、「上枠と横枠を結ぶ川」、透視図的様相を示す「下枠と横枠を結ぶ川」、作品が最初から透視図的に描かれる「下枠と横枠を結ぶ先細りの川」、近景から遠景までが統合される「山から流れ出す川」による分類を行った。


[B-06]

風景構成法の川による構成分類

-幼稚園児・小学生・大学生の作品による空間論的検討-

Author(s):
岡崎甚幸、柳沢和彦

Publication/Publisher:
日本箱庭療法学会第14回大会発表論文集、pp.58-59、2000年10月


[B-07]

幼稚園児から大学生までの風景構成法の発達的特徴
−風景構成法による空間図式の研究 その1−


Author(s):
守山敦子、岡崎甚幸、柳沢和彦

Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)、pp.979-980、2001年9月

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Abstract:
 風景構成法による空間図式の解明を目的として、幼稚園児から大学生までの1041名を対象に風景構成法を実施した。そして風景構成法の特徴である「枠づけ」に着目し、最初に描かれる川が「枠」に対して如何なる形式をとるのかを分析した。その結果、15種類の「川」の類型を抽出した。そのうち新たに得られたものとして「左右の枠を結ぶ先細りの川」「上下の枠を結ぶ先細りの川」「上枠と横枠を結ぶ先細りの川」「下枠と横枠を結ぶ先細りの川」「地平線と横枠を結ぶ先細りの川」「地平線と下枠を結ぶ先細りの川」の6種類の「先細りの川」があった。さらにそれらの川の類型に基づいて、空間構成の発達の変容を明らかにした。


[B-08]

風景構成法から見た広重の風景画
−風景構成法による空間図式の研究 その2 −


Author(s):
柳沢和彦、岡崎甚幸、守山敦子

Publication/Publisher:
日本建築学会大会学術講演梗概集(関東)、pp.981-982、2001年9月

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Abstract:
 本論では、広重の風景画の空間構成を、風景構成法の視点から分析・解明することを目的とする。広重の「東海道五十三次」「木曽街道六十九次」「名所江戸百景」のうち、「川」が描かれた計167作品を対象とする。風景構成法と同様に広重の風景画においても、「枠」に対して「川」が如何なる形式をとるのかを分析した。その結果、「彼岸なしの川」「此岸なしの川」「左右の枠を結ぶ水平の川」「左右の枠を結ぶ斜めの川」「隅の川」「下枠と横枠を結ぶ川」「下枠と横枠を結ぶ先細りの川」「地平線と横枠を結ぶ先細りの川」「地平線と下枠(部分)を結ぶ先細りの川」「地平線と下枠(全体)を結ぶ先細りの川」という10種類の「川」の類型を抽出した。


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