「義母の作務衣」
竹本由美子
最近はアンティーク着物が流行し、着物を気軽に楽しむ人も増えたことから、新しい年を着物姿で祝う人も意外に多くなったのではないでしょうか。
私のお正月の晴れ着は、結婚2年目から義母手製の着物をリメイクした作務衣になりました。初めてのお正月、義母が着きているのを見て“私も欲しい!自分で作ろうかな・・・”と思っていたのですが、その年末に義母が私に仕立ててくれたのです。
成人式の着物と同じくらい嬉しかったことを覚えています。それからは毎年、お正月にはいつも素敵な着物地の作務衣を着ています。
作務衣は本来、僧侶が作務をおこなうときに着る作業着ですが、それほど古いものではなく昭和に入ってからできたものだと言われています。着物で動作がしやすいように羽織った上っ張りが、今のような部屋着として着られる作務衣になったとか。
このように晴れ着ではない作務衣ですが、着物地で作られた作務衣はとても品があり、私にとってはこの世で1着しかない素敵な晴れ着になっています。本当は、特別な日だけでなくいつも作務衣で過ごすような生活ができればと思うほどに、作務衣の着心地の良さに魅了されているのですが・・・。
いつの日か、自分のお気に入りの着物をリメイクした作務衣で過ごせる日常を夢見て、今年も義母の作務衣で新しい年を迎えました。皆様も、健やかな素晴らしい1年を過ごされますように。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。