武庫川女子大学看護学部 学部長×在学生×卒業生 GroupTalk2022

今必要なケアの技術と心をあたたかな学びの環境でしっかり自分のものに。

外からではなかなか見えにくい授業や実習、サポートのこと、コロナ禍での学生生活のこと。武庫川女子大学看護学部の学び心地を先輩たちがいろいろな角度から分析。本音トークをお届けします。
  • 三次さん3年生

    三次さん3年生

  • 小島さん4年生

    小島さん4年生

  • 永成さん2020年卒業生

    永成さん2020年卒業生

  • 町浦学部長

    町浦学部長

ケアに大切な考え方を学びチームワークを身につけていく

町浦学部長
学部長

武庫川女子大学看護学部で実際に学んでみて、皆さんはどんな感想を持っていますか。

三次さん3年生
3年生

1年生の間は、想像していたより講義が多いなと感じました。でも、そこで身につけた知識が、演習や実習につながっていくんですよね。2年次に初めて行った臨地実習で患者さんとコミュニケーションを取るのに、授業で学んだコミュニケーション方法が役に立ったのを覚えています。

小島さん4年生
4年生

看護の知識・技術はもちろん、相手の意見も尊重しつつ自分の意見を伝えられるようになった気がします。講義で患者さんの人生や生活、価値観をしっかりとらえることの大切さを学び、演習や実習中にも患者さんがどう思っておられるのかをベースにどう看護をしたらよいかを考えていくことを教えていただきました。

町浦学部長
学部長

入院中の暮らしは、患者さんの生活全体から見れば一時的なものにすぎません。退院してからも、病気を悪くしないようにどう暮らしていくのかを考えてケアすることが大事だと常に言っています。みなさんにそれが伝わっていてうれしいです。

永成さん2020年卒業生
卒業生

病院で働くようになると、学生時代の臨地実習に比べたくさんの患者さんを担当するようになります。一人ひとりの患者さんの話を聞く時間も短くなりますが、なるべく時間を取ってコミュニケーションを図ろうという気持ちがありますね。これも、武庫川女子大学で患者さんのことを知ろうとする姿勢や退院後の生活のことを考えて患者さんのケアにあたることの大切さを学んだからだと思います。また、グループワークが多く取り入れられているのもよかったなと思いますね。

町浦学部長
学部長

医療の現場はチームで動きますから、現場で必要なチームワークをグループワークで身につけてもらいたいからですね。1年次からグループワークを段階的に取り入れ、3年次の前期には臨地実習に備え、特定の患者さんのケースを設定してみんなで看護のやり方を考える練習をしています。

永成さん2020年卒業生
卒業生

自分の意見を言い周囲の人の考えを取り入れて修正するという、チームで働くための基本的な力が身につきました。今働いている中でも活用できています。

町浦学部長
学部長

みんなで協力するという姿勢も大切ですよね。永成さんの職場でも、誰かの受け持ちのケアが遅れていたら助けますよね。

永成さん2020年卒業生
卒業生

はい。ヘルプを頼んだり頼まれたりお互いに補い合うことも多いですが、大学でグループワークの経験があったからか、自然にそういう環境になじめました。

三次さん3年生
3年生

今はオンラインですが、様々なグループの人と患者さんの事例について話し合うこともありますし、その時々に気になったことを自由に話し合うことも。いろいろなパターンのグループワークを経験して、だんだん慣れていけます。

小島さん4年生
4年生

演習もグループで取り組み、毎回グループが変わるので、普段あまり話さないような人とも交流できます。だから看護学部はみんな顔見知りでみんな友だち。人としゃべるのが好きだったり協力的だったりする人が多いと思います。

永成さん2020年卒業生
卒業生

私自身は入学するまで人見知りで、仲のいい子としかしゃべれませんでした。でも、武庫川女子大学で4年間もまれにもまれ(笑)、誰とでもしゃべれるようになりました。話すことが苦手な人にも、安心してねと伝えたいですね。

コロナ禍への不安に応え一人ひとりをきめ細かくフォロー

町浦学部長
学部長

新型コロナウイルスの流行で、講義科目はオンラインを中心にし、感染予防のために分散登校を進めるなどしています。いろいろ変化が大きいのですが、どう感じていますか。

小島さん4年生
4年生

2020年の春に緊急事態宣言が出て登学禁止になった時期と臨地実習の準備期間が重なってしまいました。専門書がたくさん備えてある図書館の利用ができず、調べ物がしにくくなったのは困りました。

三次さん3年生
3年生

オンライン授業になってから、課題が増えました。自分で調べて答えを導くのですが、わからない時は先生にどんどんメールで質問しています。

町浦学部長
学部長

オンラインの場合、学生一人ひとりの微妙な反応を見逃さないように、サブの教員も一緒に反応を読み取っています。また、一人ひとりのコメントを確認し理解の状況に合わせてメールでフィードバックするなど、学生ときめ細かなやり取りをして密なフォローができるよう心がけています。わからないことや不安があれば、何でも気軽に質問してほしいと思います。

大きく変化した実習環境充実した学びをさらにサポート

町浦学部長
学部長

臨地実習にもコロナ禍の影響が出ました。2020年度は学生の受け入れを中止したり、人数の制限や期間短縮をする医療機関がありました。急遽、別の施設に受け入れを依頼して対応したほか、一部はオンラインで実習をシミュレーションする形も取りました。オンライン実習は、学生が担当する患者さんの疾患やプロフィールなどをきちんと設定して、看護計画の立案や発表、ケア、報告、カンファレンスなど一通り実際と同じように行います。朝9時からというスケジュールも同じにしました。

小島さん4年生
4年生

先生方が患者役や指導看護師役をしてくれ、本物の臨地実習に近い形で学ぶことができました。病院での実習で得られることは多いですが、オンライン実習にもメリットはあります。患者さんの病気や、それに対するケアの方法を調べる時間が実際の臨地実習よりたくさんあり、より掘り下げて勉強できたと思います。

町浦学部長
学部長

確かに、医療現場での実習では調べものや考え事をする余裕はあまりありませんからね。じっくりと向き合い、自分の考えを深められたのではないでしょうか。教員も、学生の看護計画や展開に合わせてさらに現実味のある設定に変えるなど臨機応変に対応し、少しでも学びを深めてもらえるよう工夫を重ねています。

三次さん3年生
3年生

実際の臨地実習ではそれぞれの学生が別の患者さんを担当しますが、オンライン実習の場合、みんなが同じ設定の患者さんを担当します。カンファレンスで他の人の意見を聞き、そういう考え方もあるんだとたくさんの気づきがありました。

永成さん2020年卒業生
卒業生

働いている立場から言うと、様々な背景を持っておられる実際の患者さんに接する機会が少ないことは心配です。じっくりと調べられたり、自分にない視点を得られるなどの利点を十分に活かして補っていければいいですね。

町浦学部長
学部長

大学としてもなるべくデメリットのないように体制を整え、新しい受け入れ施設の開拓はもちろん、現場での実習機会を有意義に活用できるよう努力しています。

三次さん3年生
3年生

新型コロナの流行が始まってから臨地実習に行った時は、患者さんが学生の実習をどう感じられるのか心配でした。でも、実際には優しく受け入れてくださりほっとしました。一緒に先生がついていてくださるので、安心感もありました。

小島さん4年生
4年生

5、6人の学生に対して1人ずつ先生がついて実習をサポートしてくださるので、本当に心強いです。援助の方向性について悩み、立ち止まってしまうこともありますが、すぐに相談でき親身に対応してくださる先生ばかり。答えを教えるのでなく、学生の考えをまず聞いた上でヒントを下さるので、自分の考えを整理でき理解もより深まりました。

永成さん2020年卒業生
卒業生

私の時も1グループに1人先生がついてくださっていましたが、そういう手厚い大学ばかりではないことを就職してから知りました。実習中は実習記録を書いたり調べ物もたくさんあって睡眠不足になったり、気持ちが落ち込むことがあります。そういう時に、先生から「ご飯食べてる?」「寝られてる?」と声をかけてもらい、とても励まされたのを思い出します。

町浦学部長
学部長

看護する人の体調が悪いと、結局は患者さんのケアにも影響が出てしまいますからね。看護職にとって、健康管理はとても大切。教員は実習中のメンタルケアにも気を配り、学生の体調を万全にして思う存分学べるようサポートをしています。もちろん今は、感染防止の観点からも健康状態のチェックは欠かせません。2週間前からアルバイトの自粛、実習後2週間は健康チェック表を記入して体調を管理するよう指導を徹底しています。

就職活動や国家試験対策は早期の個別サポートがカギ

小島さん4年生
4年生

就職活動でも先生方にお世話になりました。3年次の2月にエントリーシートを提出する際、内容の添削をしていただきました。友人はゼミの先生に小論文の添削や模擬面接をしてもらっていましたね。

永成さん2020年卒業生
卒業生

私も、履歴書の添削など細かなことまでサポートしていただきました。臨地実習期間と重なっていたので、実習の先生にも聞いて。武庫川女子大学は、どの先生にも気軽に相談しやすい雰囲気なんです。

町浦学部長
学部長

全学の学生を対象にしたキャリア支援室もありますが、看護師の就職を一番わかっているのは看護学部の教員です。実習先の病院を招いて合同就職説明会を行ったり、履歴書の添削や面談練習など全員が一丸となってサポートしています。日頃から実習先の病院をよく見ている経験から適性に合った勤務先のアドバイスをしたり、みんなが力を合わせてサポートしています。

小島さん4年生
4年生

看護学部で開かれた合同就職説明会に参加したことがきっかけで就職の準備をしないと、という気持ちが高まり、本格的に活動を開始しました。

永成さん2020年卒業生
卒業生

私もそう。いろいろな病院の考え方を聞くことができ、選択肢を増やすことができました。

三次さん3年生
3年生

私も、合同就職説明会には参加しました。これから、どのような分野に興味があるのか、どこに魅力を感じるのか、自分の考えを整理していきます。

町浦学部長
学部長

国家試験対策についてはどうですか。小島さんは今、試験勉強が山場を迎えているところでしょうね。

小島さん4年生
4年生

低学年の時から授業の内容の確認テストとして国試の問題に触れる機会があり、その積み重ねが大きな力になっていると感じます。また、オンラインで問題が送られてくる苦手克服プログラムは、計算問題や小児の発達課題など苦手な人が多い問題を選んで定期的に配信してくれ、役に立ちます。もちろん、定期模試が何度もあったり外部講師の先生が講義をしてくれたり、全体的にしっかりサポートをしてもらっていると思います。

町浦学部長
学部長

苦手克服プログラムは、大学に来られないことも多くなったので家にいてもしっかりと勉強ができるよう、今年から始めました。今までは大学に実力強化のための場所をつくって勉強してもらっていましたが、今年はオンラインシステムの中に専用の部屋をつくりました。決まった時間に点呼をしたり質問を受け付けたり、いつもそばで見守りながら受験準備をサポートしています。

小島さん4年生
4年生

学校に行かないことで、勉強しようという気持ちになれないこともあります。先生方が定期的にメッセージを発信してくださるので、勉強に気持ちを向けたり最新の情報を入手したりできてかなり助けられています。

永成さん2020年卒業生
卒業生

私たちの時はオンラインではなく、リアル「国試部屋」がありました。実際はそんなことはないのですが、ビシビシしごかれる怖いイメージを持っていたので、国試部屋に行かないように勉強しようというモチベーションの素になっていました(笑)。よかったのは、実際に国試の試験会場で模試が受けられたこと。本番にも緊張することなく試験に臨めました。

三次さん3年生
3年生

先輩方のお話を聞いていると、頑張らないと、と思えてきますね。3年次の最初の頃オンラインによる個別面談があり、国試についての心構えや準備について考え始めました。勉強スケジュールをアドバイスしていただいたのも役立ちました。

町浦学部長
学部長

国試対策については、10人程度の学生を教員1人が担当し、個別に学習進度や成果をつかんだうえできめ細かくフォローするようにしています。看護師になるためにはどうしても潜り抜けなければならない関門なので、みんなで一緒に頑張っていきたいと思います。

仲良しが増えるようオンラインでもいろいろ工夫

町浦学部長
学部長

学生生活についても聞かせてください。ここにも、コロナの大きな影響があると思います。

三次さん3年生
3年生

大学に行けない時は、同じ実習グループの人とオンラインでつないで一緒に勉強したりしています。特に会話をするわけではないのですが、友だちがやっているなら自分もさぼらないでやろう、というモチベーションになる感じです。

小島さん4年生
4年生

4年になると、もともと学校に来る機会は多くありません。感染予防のための分散登校でさらに機会が減り、特定の人とだけ顔を合わせる感じでしょうか。ただ、たまに模試とかで会った時には、相変わらず仲良くいろんなことを話しています。

町浦学部長
学部長

1年生は入学式もなく5月以降はすべてオンライン授業になったので、友だちづくりが難しかったと思います。クラス担任によるオンラインミーティングや初期演習の授業などで、何とかお互いに親しくなってもらえるような工夫をしました。

永成さん2020年卒業生
卒業生

私たちの時は、1年生と4年生が行く丹嶺合宿でコミュニケーションを深めることができました。1年生は一緒にカレーを作ったりドッチボールをしたりして友だちづくりをし、4年生は実習も一段落したタイミングで解放感にあふれた卒業旅行のような感覚でした。

小島さん4年生
4年生

体育祭での応援合戦も仲良くなるチャンスです。入学してすぐ5月の行事なので、曲や振り付けなどパフォーマンスの内容をみんなで考え、放課後や丹嶺合宿でも練習しながら知っている人が増え、仲が深まっていきました。

三次さん3年生
3年生

私も、そこで仲良しの人がたくさん増えました。

町浦学部長
学部長

今年の1年生は緊急事態宣言後、感染対策に配慮して分散してバスに乗り、日帰りの交流行事を行いました。今後も、入学後に仲間づくりができるよう、よりよい取り組みを考えていきたいと思います。

患者さんに寄り添い守る愛と責任のある看護師に

町浦学部長
学部長

いろいろ話してきましたが、最後に、看護師という仕事の魅力やめざす看護師像について聞かせてください。

永成さん2020年卒業生
卒業生

看護師は患者さんに一番近い立場にいます。日頃から話をよく聞いて体調をチェックし、その立場に立っていろいろと考えます。治療を終えて帰られる時に「あなたがいたから、治療を頑張れた」と言われた時には、看護師になってよかったとやりがいを感じられ、さらに頑張ろうと思えます。患者さんと密に関わり、しっかりと見つめていけるようにこれからも力を尽くしたいと思います。

小島さん4年生
4年生

看護師になりたい気持ちは、4年間学んだ今の方が強くなっています。臨地実習でいろんな患者さんと出会い、一人ひとり違うその人の人生や大切にしているものを考えることがいかに大事かを実感しました。患者さん一人ひとりにとって何が必要な看護かを考えて行動できる、責任感と愛のある看護のできる看護師をめざしたいと思います。

三次さん3年生
3年生

入学した時は患者さんに寄り添う看護師になりたいと考えていました。武庫川女子大での経験から、寄り添うだけでなく患者さんの過去から未来までを見つめる視点の大切さを学んでいます。それを基本に、今後の実習などを通して様々な看護の取り組みを考えていくつもりです。

町浦学部長
学部長

永成さんはコロナ禍での病院勤務で、さらに看護についての考えが深まっているのではないでしょうか。

永成さん2020年卒業生
卒業生

病棟勤務をしているので、患者さんに関わる責任を感じる毎日です。気になるのは、感染対策上、面会を制限せざるを得ないことです。病気と闘う上で心の面はとても大切で、家族はその大きな支えになっています。面会できないことで患者さんの心の負担が高まらないよう、看護師として精神的なサポートに力を入れています。患者さんの身を守るという看護師の仕事の意味を、改めて実感しています。

町浦学部長
学部長

武庫川女子大学看護学部のモットーは、看護の対象となる患者さんを疾患のある人というだけでなく「生活している人」としてとらえることです。そのために必要なのは、みなさんが言ってくれた、その人のことを思う気持ちを大事にして寄り添うことです。その上で今の時代に求められているのは、エビデンス(根拠)に基づく看護を提供することです。看護の「看」という字をよく見ると、「手」と「目」からできていることがわかります。目で見てよく観察する思考力と、手を添えてケアをする人間性の両方を身につけてもらうよう、私たち教員も全力を尽くしていきたいと思っています。

※掲載されている学年は取材時のもの

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Group Talk 学部長×在学生×卒業生[2020年] いのちに寄り添うプロを目指して。仲間と一歩ずつステップアップ。
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