
建築家は個性を磨くだけでなく、環境や社会に対しての責任を果たす必要がある。
森本 順子 もりもと じゅんこ
武庫川女子大学大学院 建築学専攻 博士課程 修了
武庫川女子大学 生活環境学部 建築学科 講師
経歴
- 1996年
- 京都工芸繊維大学卒業
- 1998年
- 京都工芸繊維大学大学院 修士課程修了
- 2009年
- 武庫川女子大学 生活環境学部 建築学科 助手
- 2014年
- 武庫川女子大学大学院 建築学専攻 博士課程修了後、現職博士(建築学)。専門は建築設計、建築設計学。
Q&A
Q 進路のきっかけは何ですか
A 武庫川女子大学の助手に着任する前は、建築士として民間企業でさまざまな設計業務に携わってきました。日々の設計業務をこなす中で、自分自身の知識不足を痛感し、また現在の建築設計の在り方に疑問を持ち始めていた時に、大学という環境に戻ることができたことが博士課程へ進学するきっかけとなりました。建築は時としてその設計者よりも寿命が長く、社会に対して大きな影響を及ぼす存在となり得ます。そのため、建築家は単にデザインに関しての個性を磨くだけでなく、環境や社会に対しての責任を果たす必要があります。理想の建築家像とは、実務者であると同時に、学術的な研究者でもあるべきという岡﨑建築学科長からの助言もあり、研究者としての一歩を踏み始めたところです。
Q 夢の実現に向かって努力したことはどんなことですか
A まず、人脈を作ることからはじめました。一人で研究を進めるには限界がありますが、武庫川女子大学建築学科だけでなく、他の大学や研究機関の先生方からもご指導、ご協力を得られたことはとても幸いでした。研究の糸口が思わぬところから見つかる場合もあるので、特に他分野の研究者との交流は大切にしています。また自分自身の向上ために、自国だけでなく海外の文化など、さまざまな分野に興味を広げ、日々、挑戦し続けるように努めています。
Q 何故今の研究分野が面白いと思いましたか
A 日本を代表する建築家・村野藤吾(1891 ~ 1984)の建築作品に表現されている曲面の造形に興味を持ち、実際の建築作品を実測調査するなどの研究をしています。戦前から60年余りに及ぶ多彩な創作活動を通して生み出された彼の建築作品は、今でも社会に対し大きな影響を与え続ける存在となっています。特に自由な曲面の造形には独特の美しさがあり、多くの人を引き付ける魅力があります。曲面の空間は、人に対して「動き」や「柔らかさ」といった印象を与えます。なぜ曲面の空間に引き付けられるのか、村野藤吾の建築思想やデザイン手法を通して、美しいと感じる曲面の空間についての法則を見つけることに面白さを感じています。