
色彩は私たちにとって非常に身近なもので、さまざまな生活シーンで活用されています。
和泉 志穂 いずみ しほ
武庫川女子大学 情報メディア学科 講師
プロフィール
- 2004年
- 武庫川女子大学生活環境学部情報メディア学科卒業
- 2016年
- 武庫川女子大学大学院生活環境学研究科博士課程修了博士(情報メディア学)
ワークライフバランス
大学卒業後、嘱託助手として大学で勤務。任期(5年)満了のため退職し、フルタイムの働き方から、曜日切り売りスタイルへと働き方をシフトする。研究所、大学、NPO法人での助手や職員の仕事を非常勤として兼務し、曜日ごとに違うコミュニティ・場所で働く、まるで毎日が小旅行のような生活を過ごす。その後、大学で非常勤講師を務めることになったことをきっかけに、フリーランスとしての仕事も開始。働きながら大学院博士後期課程へ進学(修士課程は免除)し学位取得。非常勤講師などを続け、現職。
Q&A
Q 大学院での研究内容を教えてください
A生活者にとっての色彩の重要性や、マーケティングにおける色彩の可能性を提示することを目的に、1980年代以降に登場した経験と感情、および感性に着目したポストモダン・マーケティングという視点を用いながら、1900年代以降の色彩とマーケティングの潮流を整理し、カラー・マーケティングの体系化を行いました。
過去の論文や企業活動をレビューする他に、製品における色彩の重要性や五感との関係性、五感間の関係性を検討するための事例研究も実施しました。そのなかで、感性マーケティングとしての色彩の重要性を再認識し、現在は、イメージ全体を色彩心理学と認知科学にもとづき9つに分類した感性マーケティング手法WAT9を用いた研究をしています。
Q現在の研究分野・仕事の内容とその面白さは何ですか?
A日々の暮らしの中で、色彩は私たちにとって非常に身近なもので、さまざまな生活シーンで活用されています。そのような色彩やデザインについて、感性や文化、マーケティングなどの側面から調査・分析を行い、生活の質の向上や商品のブランディングに役立つコンテンツの研究・発信に取り組んでいます。
色彩の研究対象は幅広く、身近なファッションやメイク、インテリアから、色の文化、絵画に見る色の使われ方、カラーバリエーションによる心理など、それぞれが面白く、興味が尽きません。また、研究とは別に、ミュージカルやよさこいなどの現場での衣装制作などにも協力させていただいていました。そのような活動を通し、舞台監督や照明技官の方々と話をさせていただくなかで、生活の場以外での魅せる色彩の可能性も感じると同時に、そのような現場での体験を学生のみなさんに少しでも経験してもらうチャンスはないものかと考えています。
Q 現職を進むことになったきっかけは何ですか?
Aもともとは、家庭科教員になりたいと思い生活情報学科(現:情報メディア学科)に進学しました。学科では、陶芸や機織りのようなアナログ情報から、文化、生活、マーケティングにプログラミングまで、本当に幅広い“情報”に関する内容に触れることができました。
当時の先生方が楽しそうに仕事をされているのを見て、私も大学教員になってみたいと思ったのが大学3年生の頃です。情報メディア学科に進学していなければ、この職に注目も憧れもしなかったかもしれません。
その後、一般就職で内定をいただいていたのですが、学科の嘱託助手(副手)の採用公募があり、内定を辞退して大学助手という仕事を選択しました。実際に大学教員の仕事をサポートすることを通して、とうてい私には務まらない仕事であると思い、一時は大学教員になってみたいという夢を諦めていました。
しかし、「和泉さん、色彩を教えてみない?」という恩師の一言がきっかけで、心機一転、非常勤講師をさせていただきながら、大学院に進学し、多くの先生方に叱咤激励いただきながら博士号を取得した結果、現在に至ります。
Q ご自身はどんな子どもでしたか?
A父の仕事の関係で、転校を繰り返す幼少期を過ごしました。小学校は4回ほど転校しています。最短で半年、最長で3年という期間を同じ小学校で過ごしました。
そのため、初めは友達と別れることがとても寂しいことだと思っていたのですが、回を重ねるうちに、転校することで「新たな物語が始まる!」「友達がいろんなところにできる!」とプラス思考に考えるようになっていました。当時は物語を読むことが好きだったので、自分が物語の主人公だと錯覚していたのかもしれません。幼馴なじみという関係の友達はいませんが、小学生の時に毎日一緒に遊んでいた友達とは、今でも年賀状の交換をしています。