武庫川女子大学発達支援学術研究センターは、文部科学省私立大学学術研究高度化推進オープンリサーチセンター事業の助成を受け、武庫川女子大学大学院文学研究科心理臨床学専攻(平成20年 臨床心理学専攻に名称変更予定)、文学部心理・社会福祉学科、発達臨床心理学研究所を母体として平成19年4月に発足しました。
近年、子どもの心の不健康さに起因するのではないかと想定される多くの社会的問題が発生し、これにどう対処すべきかが議論の的になっています。問題の背景として、少子化、核家族化、高齢化を中心とする社会環境の変化が関係しているのではないかと想定されています。このような状況の中ですべての子どもの心の発達を可及的早期からフォローし、もし、その過程で健康な発達を阻害する可能性のある要因が見つかれば、それを直ちに排除するか、子ども自身に働きかけることで健康な発達を促進する手だてをとることができるでしょう。
以前から各市町では「一斉健診」が行われています。この場を生かし,全ての子どもの発達を早期から「縦断的、前方視的フォローアップ体制」の中で直接的に見ていくことにより、ほんの軽微な発達上の歪みを検出し、その子ども達を将来、何らかの障害のリスクを高く持つ子どもとして注意深く見ていくことが出来るでしょう。
本研究の目的は、各市町が担当する子どもの発達初期からの一斉健診の場を全ての子どもの健康な発達を目標として関わる専門家(保健、心理、医療、福祉、教育などの領域の専門家)が協働作業を行う場として構築し、その体制の中で、子どもの発達を早期からフォローしながら、この健康な発達の軽微な歪みから障害・疾病にいたるプロセスを明らかにしていく作業、そして、障害・疾病の早期介入をはかるための方法などを開発していくことにあります。