環境共生学部
LABORATORY
土砂は、私たちの暮らしとどのように関連しているでしょうか。例えば、土砂の発生量の多寡や質 (粒の大きさ) が変化すれば、災害につながったり、河川環境を変化させたり、水生生物の生息環境が変化することで水産資源に影響が出たりすることもあります。
本研究室では、山地からの土砂の発生について、関連する水の動きを解き明かしながら、量と質の両面から調査研究を行っています。特に、人工林管理や大型野生動物の個体数増加の影響、火山噴火後の土石流の発生しやすい条件に関する研究を進めています。山地での土砂の観測にはそもそも有効な計測手段がないこともあるため、手法の確立にも取り組んでいます。そして、土砂災害を防ぐため、土砂を資源として適切に管理するためにどうすればよいかを考えていきます。
日本の国土の約70%が森林で、そのうち針葉樹や竹林が約46.5%を占めています。こうした林分では手入れ不足の場合、林内に植物が生育しにくく、雨水が地中へ浸透しにくい状況になります。一方、伐採で急激な環境変化が生じた場合はどうでしょうか。こうした森林環境の変化が、水や土砂の発生に対してどのような影響を与えるかを明らかにする研究に取り組んでいます。
山地で発生する土砂の発生や移動の実態を明らかにするためには、悪条件の現場*でも継続的に観測できる方法が必要です。
*遠い、電気が通っていない、雨天時に発生する水や土砂で機器が壊れる、など
近年、多くのセンシング技術の発達により、非接触での水や土砂の計測が可能になっています。その中で、誰でもできそうな方法として、安価なインターバルカメラを用いた観測手法の開発に取り組んでいます。現在、雨天時の川の水位上昇や濁りの発生を検出できており (下の写真)、定量化へ向けた研究を進めています。
現在、日本は森林飽和**の状態であり、そうした環境は私たちの生活を豊かにする一方で、野生動物による様々な問題を生じさせています。特に増えすぎたシカの採食により、多くの地域で自然生態系の破壊が問題となっています。
**太田猛彦(2012)森林飽和 国土の変貌を考える.NHKブックス.260p.
シカの採食が40年間発生している森林流域全体を防鹿柵で囲って8年間、生態系の応答をモニタリングしました。その結果、シカの採食圧の低下→地上部と地下部で植生バイオマスの回復→土壌中の空隙の増加というプロセスが生じる可能性が示唆されています。
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