NUTRITIONAL SCIENCE
栄養科学部門長としてご挨拶申し上げます。また、当部門の研究活動に対する皆様の日頃のご支援とご協力に心から感謝申し上げます。
当部門は認知症予防チームとフレイル予防チームの2つから構成されています。運動科学、栄養学、薬学、看護学、応用音楽科学の多様な領域の研究員が集まり、これらの研究領域の総合的な視点から高齢期の健康を支える取り組みを行っています。
現在のわが国では超高齢社会が急速に進展する中で、高齢期の健康維持と生活の質の向上は極めて重要な課題として位置づけられています。その中でも認知症の予防は喫緊の課題であり、また新型コロナウイルス感染症による制限された社会活動を経て、フレイル予防の重要性も強く認識されるようになりました。
当部門では、このような高齢期の健康に関する課題に対して、2つのチームが協力してその解決策を見出し、貢献していきたいと考えております。
教授
大滝 直人
栄養科学部門では、地域の高齢者に対する栄養支援と生きがいの高揚による自立支援システムの開発を目標として研究を行っています。具体的には、高齢期の健康問題として、フレイルやサルコペニアなどを取り上げています。また、社会的孤立も近年大きく注目されている課題です。社会的孤立を予防する地域のつながりや地域支援についても研究を行っています。
現在のわが国の65歳以上の高齢者のおよそ10%がフレイルと推計されております。フレイルの予防の3つの要素は、栄養・運動・社会参加とされており、これらの分野の研究推進が強く求められています。フレイル予防チームでは、高齢期の栄養状態および運動機能の改善・向上、また社会参加の機会の増加などを通じて、高齢期の健康課題を克服する研究を推進しています。
また、多くの研究成果を実社会に還元することを最も重視しており、地域社会との連携や協働を積極的に行い、日常生活で役に立つ健康・栄養情報を発信していきます。
さらに当チームの様々な調査や地域支援活動には大学生・大学院生も参加しており、実践的な研究活動を通して、将来の地域医療を支える社会貢献の意欲の高い人材を育成しています。
今後とも、地域の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。
教授
大滝 直人
健康科学総合研究所の認知症予防研究チームでは、多面的介入によって認知機能の改善効果があることで知られる「FINGER研究」を参考に、健康・スポーツ科学科、看護学科、食物栄養学科、応用音楽学科、心理・社会福祉学科の複数学科の教員で構成されるチームを結成し、2021年10月より「認知症予防教室」を開催しています。
認知症予防教室(以下、教室)は毎週1回月曜日に実施しており、約1時間の運動(二重課題を含む)と週替わりで各領域による約1時間の講座を実施しています。このように週に1回の教室ではありますが、各領域による介入によって対象者の身体諸機能の改善効果が表れています。また種々の改善効果は各領域の先生方による内外の学会発表で周知されるなど、武庫川女子大学健康科学総合研究所による新たな認知症予防法の開発が着々と進められています。
学部長 教授
渡邊 完児