調味料

グルタミン酸ナトリウム

GLOSC027


「食品添加物は毒」派の意見

 食品添加物による化学物質過敏症は,古くから知られている。30年ほど前,アメリカ・ボストン近郊の中華料理店で食事を摂った人たちが,10~20分後に,首から腕にかけてしびれと熱感を持ち,それは胸まで広がり,全身の倦怠感や緊縛感に襲われた。・・・中略・・・。カップめんやインスタントラーメンを食べると,胃が重苦しくなり,下痢をすることもある。いずれも添加物が原因の化学物質過敏症にかかっているのだ。


「MOTTO!食品衛生」からのコメント

 患者が摂取したワンタン・スープにグルタミン酸ナトリウムが多量に使われていたため,グルタミン酸ナトリウムが中華料理店症候群の原因ではないかと疑われました。そこで,臨床試験が行われましたが,一部の過敏な人に上記のような症状が現れますが,約1時間で治まるという結果が得られています。

 グルタミン酸は,アミノ酸の一つで食品や私たちの組織や血液中に広く存在しています。体内のアミノ酸は常に一定のバランスで維持されているのですが,多量のグルタミン酸ナトリウムを摂取すると,体内のグルタミン酸濃度が一時的に上昇し,正常なアミノ酸バランスが崩れ,一部の人では上記のような症状が出るものと考えられます。その後,グルタミン酸は,徐々に代謝され,正常な値にもどるとこれらの症状がなくなります。これは別にグルタミン酸に限ったことではなく,他のアミノ酸や食塩など何でも一時的に多量に食べれば気持ちが悪くなるのは当たり前です。

 カップめんインスタントラーメンを食べると胃が重くなり,下痢をするのは,これを食べる時間帯に問題があるのではないでしょうか?夜中に食べて,朝胃の調子がバッチリという人はいません。化学物質過敏症であると決めつける根拠となる報告はありません。

Since 1998.08.25〜 連絡先:松浦寿喜(chuchan_net@yahoo.co.jp)