ドラッグストアを覗くと,コラーゲンの美容・健康効果を謳った健康食品が数多く並べられています。インターネットで「コラーゲン」を検索してみると,「肌のハリや弾力の維持」に役立つと宣伝されていますが,本当に美肌効果はあるのでしょうか?
1. コラーゲンとは?
そもそも「コラーゲン」というのは,私たちもカラダを構成するタンパク質の一つで,主に皮膚や骨,軟骨などに分布しています。今まで特に意識してコラーゲンを食べたわけではありませんが,私たちの皮膚などに存在しているタンパク質なのです。
2. コラーゲンを食べると・・・
「加齢によりコラーゲンが減ってくる」というので,コラーゲンを健康食品で摂取するように宣伝されていますが,「コラーゲン」を食べたからといって私たちのカラダの中でコラーゲンになるのでしょうか?

コラーゲンはタンパク質ですから,牛肉などと同じようにカラダの中で消化され,アミノ酸や小さなペプチドになってから吸収されます。そして,吸収されたアミノ酸は,筋肉や腸管,肝臓などさまざまな臓器の構成タンパク質の材料になります。コラーゲン由来のアミノ酸が必ずカラダの中でコラーゲンになるかというと,その保証はありません。
逆にいうと,普通にお肉や大豆などのタンパク質を食べれば,コラーゲンの材料にもなるということです。
3. タンパク源としてのコラーゲン
「コラーゲン」もタンパク質なら,牛肉や大豆の代わりにコラーゲンを食べても良いのではと考える方もいらっしゃるかも知れません(実際に,講演会でコラーゲン大好き婆さんがいらっしゃいました)。でも,これはあまりオススメできません。
タンパク質を構成するアミノ酸には,「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」があり,「必須アミノ酸」は私たちのカラダの中では十分な量を合成できないため,食品から摂取しなければならないアミノ酸です。

私たちの血液中のアミノ酸をコラーゲンや牛肉のタンパク質のアミノ酸を比べてみると,牛肉には必須アミノ酸が豊富に含まれていて,ヒトの血液中のアミノ酸バランスに近いのがわかります。一方,コラーゲンは「非必須アミノ酸」は豊富に含まれていますが,「必須アミノ酸」は少なく,トリプトファンは全く含まれていません。
「美容と健康」を考えるのであれば,バランスの良い食生活を心がけることが大切です。