いわゆる健康食品

 「いわゆる健康食品」とは,「特定保健用食品」,「栄養機能食品」,「機能性表示食品」のように安全性や有効性を科学的に確認されたものではなく,「食品」の範疇で「食経験」を安全性の根拠として販売されているものです。当然のことですが,「食品」ですから効果・効能を表示することができません。しかし,ネット上では「関節に効く」とか「ガンの増殖を抑える」などと堂々と書かれています。

 それでは,この「いわゆる健康食品」は本当に効くのでしょうか?

 残念ながら,「いわゆる健康食品」の安全性や有効性の科学的根拠となる情報を調べてみても,なかなか「科学的根拠」と言えるものが見当たりません。薬剤師の私としましては,「いわゆる健康食品」はあまりオススメしませんが,どうしても利用してみたいという場合には,少なくとも安全性の情報を収集してからにして下さい。アレルギーなどさまざまな健康被害が報告されていますので,くれぐれもご注意を!

 健康食品素材の安全性や有効性に関する情報については,国立健康・栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報というホームページに詳しく書かれていますので,購入前にぜひ参考にして下さい。

 ただ,安全性や有効性に関する情報はちょっと難しくて・・・という場合には,次のことをチェックしてみて下さい。

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 まず,「いわゆる健康食品」を販売している店舗ですが,マンションやアパートの1階などに突然開店したようなお店は注意が必要です。売るだけ売って,突然どこかに移動してしまうことがあり,クレームを言おうにも言っていくところが無いということにもなりかねません。また,「お土産つき」や「天然素材だから」というような宣伝文句には気をつけましょう。

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 次に,「いわゆる健康食品」のパッケージを見てみましょう。有効成分名や成分の含有量は記載されていますか?「〇〇抽出物」とか「△△エキス」は,有効成分ではなく,ただ単に原料から抽出したものということですから,気をつけましょう。例えば,「〇〇抽出物100mg」と書かれていても,有効成分が100mg含まれているわけではありません。有効成分とは,「難消化性デキストリン」や「グルコサミン」といったような物質名のことです。

 さらに,製造者や問い合わせ先を確認しましょう。製造者は,しっかりした会社ですか?工場や研究所を持っている会社であれば,一晩のうちにどこかに消えてしまうことも無いでしょうから安心です。

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 最後に,「いわゆる健康食品」の使い方です。

 「いわゆる健康食品」は,医薬品ではありませんので,病気を治すことはありません。病気が治ると信じて利用したばっかりに,病気が悪化したり,命を落としたりした例もありますので,くれぐれもご注意下さい。

Since 1998.08.25〜 連絡先:松浦寿喜(chuchan_net@yahoo.co.jp)