共学化に関わる本学の対応と質問への回答
武庫川女子大学が2027年度から共学化して「武庫川大学」とする方針を6月17日に公表して以来、多方面から様々なご意見、ご質問をいただいております。本学としては一つ一つのご意見、ご質問に真摯に向き合い、丁寧に説明を重ねているところです。
寄せられる意見で最も多いのは「現1年生が卒業するまで共学化を待つべき」という声です。心情的にはその気持ちを汲みたいですが、社会の変化のスピードに鑑みれば、4年ないし6年先まで本学が現状を維持できる保証はありません。本学としては現1、2年生と、本学に進学を決めている附属高校3年生が大学を卒業するまで実質的に女子大学として学べる環境を維持するよう、最大限配慮する所存です。
6月17日以降、7月8日まで3週間の本学の対応についてご報告いたします。
本学では在学途中で共学の方針を知ることとなった在学生の不安を払拭するため、学生への説明に注力してまいりました。
19日に髙橋学長が学生に対し、突然の公表となったことへの謝罪と共学化に至った経緯を説明する動画をホームページで配信するとともに、全学生対象の説明会への参加を呼び掛けました。20日の昼休みに公江記念講堂で開催した説明会には、学生約320人が参加しました。集まった学生に対し、髙橋学長が共学化に至った経緯と理由を説明し、質問に答えました。
また、20日に学生からの質問を集約するフォームを開設しました。7月8日現在、約170件の意見が学生から寄せられています。
6月24日から7月4日にかけては、学部別に学生対象の説明会を実施しました。大河原理事長と髙橋学長が学生に対面で説明を行い、学生からの質問に回答しました。
一方、父母等のみなさまに対しては6月21日に、理事長、学長の連名で説明の文書を速達にて送付しました。8月24日から9月27日にかけて全国5会場で開催する教育懇談会では髙橋学長から父母等のみなさまにあらためてご説明する予定です。
卒業生に対しては、同窓会組織「武庫川学院鳴松会」のホームページで17日に経緯を説明し、19日に同窓会会長である大河原理事長、鳴松会の永田幹事長の連名にてメッセージを掲載し、23日に鳴松会各支部長にあらためて説明の文書を送付いたしました。
電話やメールでのご質問には、その都度可能な範囲でお答えしておりますが、学生対象に開設している質問フォームにも多数のご質問が寄せられています。
後輩たちを思いやる上級生、ご息女に代わりご意見を寄せてくださる父母等の方々、母校を思い、エールを送ってくださる卒業生――。お叱りも多々いただきますが、これほど多くの方々が本学のことを考え、心を砕いてくださることに率直に感謝しつつ、それぞれの思いを真摯に受け止めています。すべてのご意見、ご質問に一つ一つお答えすべきところですが、趣旨が重なるご質問も多いことから、主な質問について回答を掲載させていただきます。本学が共学化を決めた背景や大学の存続にかける思い、「皆学」に込めた理念をご理解いただき、少しでも不安や疑問の解消につながれば幸いです。
なお、共学化の学部別の時期など詳細については7月28日の理事会で最終決定します。
令和7年7月8日
武庫川女子大学
突然の発表に対するご意見
急なメール配信となったのは、翌朝にも共学化についてメディアが報じる可能性があったため、学生が報道で初めて共学化の方針を知る事態を避けたいという一心でしたが、学生のみなさんを驚かせてしまい、申し訳ありませんでした。説明会については学部学科によって時間割の状況が異なり、共通する時間が取れなかったため、昼休みでの開催となりました。
内部情報が漏れたことにより、当初の予定より早く、急な発表となったことは大変遺憾です。個々の教職員に対して、改めて重要情報の守秘義務を遵守するよう徹底するとともに、危機管理意識の向上に資する啓発活動を継続して、再発防止に努めます。
学生や父母等への説明の時期について
学生には理事会で決定後、ご理解いただけるよう、丁寧に説明するつもりでした。発表が早まったためにゆっくりと段階を踏んで説明することはできなかったのですが、公表後、ただちに学長のビデオメッセージ、全学生対象の学長説明会、父母等への速達送付、さらには翌週から順次、学部別に学生対象の説明会を行い、理事長と学長がそれぞれ学生と対面で話し合う機会を持ち、理解を求めています。附属中高においては、6月18日の全校朝礼で校長が全校生徒に対して説明を行いました。
在籍学生の父母等へは6月21日から順次、速達で説明の文書をお送りしています。また、8月24日から全国5会場で開催する教育懇談会の場で学長が対面でご説明します。附属中高においては、6月17日にミマモルメ(登下校メールサービス)で全保護者等にご連絡するとともに、8月以降、あらためて保護者説明会を開催する予定です。
最初に学生のみなさんに送った「緊急一斉メール配信」に字数制限があり、連絡内容が言葉足らずになってしまい、申し訳ありませんでした。その点については説明会の場で理事長及び学長から直接、謝罪させていただきました。
父母等の方々にはすぐに謝罪できる方法がなかったため、まずはホームページに書かせていただきました。
意思決定の経緯について
少子化を受け、何年も前から女子大学として存続するにはどうすればよいか検討し、教育・研究分野の拡大を図るなど、教育・研究の質の向上に努めてまいりました。その結果が、現在の 13 学部 21 学科の総合大学への発展へとつながります。しかしながら、近年は少子化や女子大離れの進行に加え、多様性への対応が社会課題として急浮上してきた結果、本学としても共学化を考えざるを得なくなりました。
学部開設をはじめキャンパスの整備など、大学を運営する学校法人の理事会及び評議員会が責任を持って方針を決めています。大学運営は学生のことを第一に考え、大学の発展と学生のメリットの両面から検討しているので、その信頼関係のうえで判断を信じてもらえると考えました。また、賛成、反対に学内が二分されて、落ち着いて勉強する環境を保てないことも懸念されるため、学生に事前に意見を聞くことは控えました。
一般選抜での志願者数が減少している一方で、公募制推薦入試の人数が増加しているのは事実です。ただ、全体を見ると志願者は減少傾向です。大学の競争力を高めるには、一般選抜の人数が指標になります。志願者数の推移については学部単位での学生対象説明会において説明させていただいたとおりとなります。
「女子大離れ」の傾向が事実であるのかを確認するために、本学の名前を伏せたうえで、全国の高校生約500人を対象にWebを通じて意識調査を実施しました。
教職員には昨年末に女子大学としての存続、共学化の両面で意見を収集しました。
2年後に共学化する理由について
経営面を考えると、この先女子大学として永続することは難しく、運営上の余力があるうちに大学を発展的に共学化する道が最善と判断しました。在籍する学生や附属中高の生徒の事を考えると4年後ないし6年後まで女子大学を継続したいですが、社会の変化のスピードは速く、4~6年後に今の状態が維持できる保証はありません。少子化と女子大離れにより本学を取り巻く状況も年々厳しさを増しており、大学の存続を考えた結論ですが、共学化することに不安を抱く学生に対しては、クラス担任を中心に教職員が相談に乗り、卒業までしっかりサポートしていきます。附属中学1年~高校3年生に対しては附属中高の教員が相談に応じます。
ただ、経営面だけが共学化の理由ではありません。本学はかつて男性中心だった建築や経営にも積極的に学びの領域を広げ、13学部21学科の総合大学となった結果、総合大学としての魅力が拡大してきました。これからは本学の優れた教育を性別、国籍、年齢の枠を超えて広げていくことが総合大学の使命と思っています。一方で本学はジェンダー平等に貢献すべく女性人材の育成に努めてきましたが、社会のジェンダーギャップ解消は遅々として進んでいません。女性だけにジェンダー教育をするのではなく、男性にも本学の教育が必要です。共学化と呼ばず、「皆学化」と呼ぶのはこうした積極的な理由からです。
女子大学でなくなることへのご意見
「女子大学」であることを最優先して本学を選び、在学中の共学化を受け入れがたいと感じている方もいると思います。本学の学生は入学時から、学部・学科・学年ごとに区分されたクラスに所属し、授業等をクラス単位で行う「クラス制」を採用しています。このクラスは卒業まで原則、変わりません。男子学生を対象とした3年次編入は当面、実施しませんので、現1、2年生のクラスに男子学生が入ることは卒業までありません。ただ、共通教育科目や下級学年への聴講等で男子学生と一緒になることもありますので、不安に思う方には個別に配慮し、対応いたします。また、必要に応じて女性専用スペースなどを整備し、現在在籍中の学生や本学への進学を決めている附属高校3年生が大学を卒業するまでは、実質、女子大としての環境を維持できるよう、最大限配慮いたします。
キャンパスおよびキャンパス周辺の警備については従来通り、厳重に行う態勢を維持します。
他大学への転学を本学があっせんすることはできません。転学は受け入れ先の大学の判断によりますが、相談には個別に応じます。
「一生を描ききる女性力を。」を掲げ、自らの力で人生を切り拓ける人材を育てる教育の方針はこれからも変わりません。少人数の授業、きめ細かなキャリアサポートなど、本学の特色や教育システムは従来通りです。共学化することで「女性力」を「人間力」に進化させ、さらに教育力や特色を際立たせていきます。
中高から大学までの一貫教育を望まれた方々に不安やご心配をおかけしておりますこと、お詫び申し上げます。
大学が共学化しても教育方針を大きく変更することはありません。安心して進学していただきたく思います。
卒業証書や学歴の扱いに対するご意見
文部科学省のルールでは大学名を名称変更すると基本的には在籍する学生すべてに新名称が適用されます。本学では「武庫川女子大学」で入学した学生には入学時の大学名称を維持できるよう、文部科学省に要望を提出しており、現在、回答を待っている段階です。
卒業生への配慮について
6月17日、19日の2度、鳴松会のホームページにご説明の文書を掲出しました。
さらに6月23日以降、国内外61支部の支部長に説明の封書を送っています。8月から9月に行う地区懇親会でもご説明いたします。
大学名称の変更を機に検討しています。
就職等への影響について
従来の企業とのつながりを大切にしつつ、これまで女子大ということで接点がなかった企業にも積極的に求人してもらえるように働きかけていきます。
署名活動に対するご意見
インターネット上で署名活動が行われていることは承知しています。
共学化の価値を問うご意見
本学には多彩な学びのフィールドがあります。男性からも「本学で学びたい」ニーズがあると判断し、今回の結論に至りました。男女問わず、多くの受験生に選んでもらえるよう、本学の特色を積極的に発信していきます。
施設改修について
共学化に係る改修費用等は今回のような将来的なことを見据えて蓄えてきた財源から支出いたします。在学生の学費から捻出することはありません。
これから学生のみなさんの意見も聴きながら新しいキャンパスづくりを進めていきます。
授業や学生生活にできるだけ支障がないように最大限配慮して進めます。
男性、女性双方が活用できるように整備していきます。
これまでの教育寮の精神を受け継ぎますが、同一の寮を、女性と男性が混在して利用することはありません。