修士課程 看護学研究保健師コース

保健師は、乳幼児や妊産婦、成人、高齢者といった全ての年齢層の方を対象とし、地域で暮らす人々が病気にならないように、健康でいられるように、病気と上手にお付合いができるように、ご本人、ご家族、地域の人々と共に考え、支援を行う看護職です。
近年、少子高齢社会の進展、人々の価値観の多様化、健康格差の広がり、家族や地域のつながりの希薄化などに伴い、健康問題が複雑困難化している中、それらに対応できる質の高い保健師が求められており、本学では大学院で養成しています。

看護学研究コースの目的に加えて、公衆衛生看護学の専門性を高め、住民の健康の保持増進を実現していく実践力および保健行政への参画力を兼ね備えた、質の高い保健師を育成します(保健師国家試験の受験資格を得ることができます)。

看護学研究保健師コース パンフレット2025
本大学院の看護学研究保健師コースの4つの特徴
~保健師として活躍したいあなたをアシスト~
保健師国家試験受験資格取得

修士の教育課程(看護学研究コース)に保健師の教育課程を加えた、充実したカリキュラムで保健師国家試験受験資格取得をサポート。
国家試験の合格を目指し、定期的に学修状況を確認し、それに応じた個別支援を行うとともに、国家試験の直前には、これらに加えて教員による対策講座も実施しています。

少人数制 実践力を養う教育

1学年6名程度に対し、教員は4名の体制で全力サポート。実践力を養う教育を展開。

充実した臨地実習

1年生では1年間を通して、乳児と高齢者への継続家庭訪問(各8回・計16回)を実施し、対象者を家族として捉え継続支援について検討します。この継続したアウトリーチ活動により、自ら対象者と関係を構築できる対人関係能力を養うとともに自立心と判断力を獲得していきます。
地域の社会資源を把握するため、社会資源の見学とキーパーソンへのインタビュー、実際に対象者の住むまちを歩いて地域の特性を理解する地区視診も行います。
2年生では都市部、山間部でのW実習地で、地域の特性に応じた保健活動の実際を学びます。
すべての実習を教員が丁寧にサポートしています。

実習の詳細は、下記実習別のタイトルをクリックしてご覧ください。
  • 広域実践看護学実習 1年次通年 5~12月頃

    乳児と高齢者への継続家庭訪問(各8回・計16回)を実施し、対象者を家族として捉え継続支援について検討します。この継続したアウトリーチ活動により、自ら対象者と関係を構築できる対人関係能力を養うとともに自立心と判断力を獲得していきます。
    地域の社会資源を把握するため、社会資源の見学とキーパーソンへのインタビュー、実際に対象者の住むまちを歩いて地域の特性を理解する地区視診も行います。

    広域実践看護学実習1 広域実践看護学実習2
  • 公衆衛生看護活動展開実習 1年次後期 5~6月頃

    地域診断をもとに立てた実習計画にそって実習を展開します。個から集団へ対象を拡げ、保健所・保健センター等で行われている保健事業への参加および個別への支援の積み重ねから、保健活動の実際を学びます。

    公衆衛生看護活動展開実習1 公衆衛生看護活動展開実習2
  • 公衆衛生看護コミュニティ展開実習 2年次前期 7月頃

    実習地域の健康課題に沿った保健活動の展開を行い、健康課題の解決に向けた地域特性をふまえた保健活動の実施・評価ができる能力を養います。
    公衆衛生看護活動展開実習の都市部とは異なる、山間部の文化や生活等を学び、保健活動の共通点や相違点を考察することにより普遍的な保健活動と地域特性に応じた保健活動のあり方を探求します。

    公衆衛生看護コミュニティ展開実習1 公衆衛生看護コミュニティ展開実習2
  • 公衆衛生看護管理実習 2年次後期 10月頃

    施策の企画、立案、実施および評価の実際を学ぶため、市の保健分野に関連する委員会や審議会等への出席や管理職の保健師への同行等を行います。

また、「臨地教授等付与制度」を導入し、実習施設の優れた看護職に臨地教授等の称号を付与して、臨地実習の指導体制を強化しています。

2022年4月から朝日放送テレビで3年間放送した「武庫川女子大学のむこじょTV」に本学大学院修士課程の看護学研究保健師コースの佐藤さんが登場しました。
まちの保健室や家庭訪問実習の様子がとりあげられています。ぜひ、ご視聴ください。

健康で安全な暮らしを支えたい―保健師を目指して
修士(看護学)の学位

保健師国家試験受験資格と修士(看護学)学位のW取得で、キャリアプランをサポート。実習地の地域診断から見出された課題の解決・改善に向けての研究を実施。

「演習・実習・修士論文の連動」はこちら

看護学専門領域および分野
生涯発達看護学領域

主として生涯発達の視点で対象および家族を理解し、現代社会において、様々な発達段階にある対象への看護上の課題に取り組む看護学領域が含まれ、次の4分野に分かれています。
[成人慢性看護学分野]、[成人急性看護学分野]、[小児看護学分野]、[母性看護学分野]

広域実践看護学領域

主として制度・施策と看護との関係について理解し、現代社会において、様々な健康状態にある対象への看護上の課題に取り組む看護学領域が含まれ、次の5分野に分かれています。
[基礎看護学分野]、[老年看護学分野]、[精神看護学分野]、[在宅看護学分野]、[公衆衛生看護学分野]

教員の主な研究テーマ

教員の主な研究テーマについては、「教員紹介」ページをご参照ください。
事前面談は、E-mailにて件名を「修士課程事前面談希望(氏名)」とし、武庫川女子大学アドミッションセンター大学院担当まで、志望する看護学の教員名を添えてお申し込みください。
事前面談以外の相談も、E-mailにて受け付けています。
E-mail:nyuss@mukogawa-u.ac.jp
ホームページの「お問い合わせフォーム」もご活用下さい。

カリキュラム

カリキュラムは、学生自身の問題意識や課題に応じて、看護に関してより広い視点から課題を検討することができる「共通教育科目」と、より専門的な観点で課題を追究することができる「専門教育科目」、学生個々の問題意識に基づいた研究疑問を明らかにし疑問に応じた研究方法を検討し、研究計画立案にはじまる研究活動を修士論文にまとめ上げる「特別研究」で構成されています。「共通教育科目」は、看護における「専門基礎科目」と、看護学と近接し関連する科目を開講している他の研究科・専攻での履修可能な科目である「関連科目」で編成しています。

「授業科目」はこちら

経験知から理論知へ カリキュラムとの関連
経験知から理論知へ カリキュラムとの関連
修了要件および履修方法

標準修業年限2年以上在学し、特別研究6単位、共通教育科目において専門基礎科目の必修科目7単位、専門教育科目において広域実践看護学領域の必修科目11単位、公衆衛生看護学科目において必修科目29単位を含め、合計62単位以上を修得し、必要な研究指導を受けた上、修士論文の審査および最終試験に合格した者には、修士(看護学)の学位を授与します。なお保健師国家試験受験資格を得るために、看護師免許証の交付を受けた者で、保健師助産師看護師学校養成所指定規則に定める所定の31単位を含む32単位の修得が必要です。

ディプロマ・ポリシー

武庫川女子大学大学院看護学研究科看護学専攻修士課程看護学研究保健師コースでは、本学の定める修業年限以上在学し、「MUKOGAWA COMPASS」に基づく次のような能力・資質を備えた上で、62単位以上を修得し、かつ必要な研究指導を受けた上、修士論文の審査および最終試験に合格した者に対し、研究科委員会の意見を聴いて、学長が課程修了を認定します。課程修了が認定された者には、修士(看護学)の学位を授与します。
知識

多様化・複雑化する社会を理解する力

  • 社会の変化に対応した看護を推進するために必要な幅広い教養や経験知に基づく理論知を修得している。

“生きること”につながる専門性

  • 人の生命と生活に関する幅広い専門知識を修得している。
姿勢

自他を尊重する姿勢

  • 自らの価値観に向き合いながら、すべての人々が個人として尊重されるべき存在であることを理解したうえで、責任感をもって実践・研究できる。

失敗を恐れず挑戦する姿勢

  • 看護実践、看護教育、看護研究の発展に寄与するように、試行錯誤しながら、自らの実践を向上させようとする意思・意欲を持っている。

逆境や困難に対応するしなやかな姿勢

  • 社会の変化に伴い生じる様々な看護上の課題に柔軟に対応するためのしなやかな姿勢を身につけている。
行動

論理的に考え伝える力

  • 看護実践の場で生じている課題を科学的・論理的思考を用いて解決する方法を見出すことができる。

新たな価値を創造する力

  • 看護実践の場で生じている課題の解決・改善に向けての研究を実施し、公表することができる。
  • 複雑困難化している健康課題へ対応できる。
  • 地域の健康課題を解決する方策を探究し、施策の企画、立案、実施および評価を行うことができる。

多様な人々と協働する力

  • 人々の健康を支えるチームにおいて、多様な人々と建設的な関係を築き、メンバーシップを発揮するとともに、リーダーとして、メンバーの役割を尊重し、メンバー間の協働や連携を促進することができる。

カリキュラム・ポリシー

武庫川女子大学大学院看護学研究科看護学専攻修士課程看護学研究保健師コースでは、本専攻の定めるディプロマ・ポリシーを達成するために、次のような経験知を理論知に進化させる学年積み上げ方式の教育の方針に基づき、①論理的思考力、②研究能力、③問題・課題の発見・言語化能力、④広い視野での考えに基づく発想力を育成するカリキュラムを編成します。
  1. 「共通教育科目」は、学生自身の問題意識や課題に関して、より広い視点から看護の課題を検討することができる「専門基礎科目」と、看護学と近接し関連する科目を開講する他の研究科・専攻(臨床心理学専攻、臨床教育学専攻、健康・スポーツ科学専攻、食物栄養学専攻)での開講科目を履修可能な「関連科目」として編成します。関連科目では、豊富な科目の中から疑問を追求するのに関連する幅広い知識を身につけることができます。また、指定規則に定める「公衆衛生看護学」「疫学」「保健医療福祉行政論」に関する科目も含まれます。
  2. 「専門教育科目」は、主に制度・施策と看護との関係について理解し様々な健康状態にある対象への看護上の課題に取り組む「広域実践看護学領域」に特論、演習科目を配置し、「看護学総論」では、幅広く対象や看護をとらえる上での基盤となる考え方や、人々の健康を支える専門職や地域住民のチームにおけるメンバーシップやリーダーシップについて学び、「看護学特論」では自身の専門と関連の深い分野の理論と実践に関する知識や理解を深めます。共通教育科目での学びや看護実践での経験知も踏まえ、個人の体験と疑問に関連した幅広い知識を修得しつつ、「看護学演習」においてそれらの知識を統合し、研究疑問へと洗練していけるような教育内容です。
  3. 「特別研究」は、研究の中核となる科目であり、専門教育科目や「公衆衛生看護学科目」を通して明らかとなった研究疑問に基づき、指導教員の研究指導を受けて、研究計画の立案からデータの収集・解析等を経て、学位論文としてまとめる内容です。その能力は、地域の健康課題を科学的・論理的思考に基づいて解決する能力となり、施策の企画、立案、実施および評価等の自らの実践能力の向上につながります。
  4. 「公衆衛生看護学科目」は指定規則に定める「公衆衛生看護学」「保健統計学」および「公衆衛生看護学実習」の教育内容に関する科目を配置します。保健師の国家試験受験資格を得るための総単位数は31単位ですが、本研究科では実践力を高めるため実習単位を1単位増強した32単位とします。
  5. 教育評価
    各科目の学修成果の評価は、あらかじめ評価指標を明示し、適切・公正な評価を実施します。また、教育課程の評価については修了年次に提出する修士論文をもって教育課程を通じた学修成果の総括的評価を行います。

アドミッション・ポリシー

武庫川女子大学大学院看護学研究科看護学専攻修士課程看護学研究保健師コースでは、「立学の精神」と「MUKOGAWACOMPASS」に共感し、これらに基づいた、本専攻のディプロマ・ポリシーを理解したうえで、本専攻のカリキュラム・ポリシーに則した教育課程を学ぶために必要な、以下に掲げる学力と意欲を有する人の入学を受け入れます。
知識
  • 社会を理解し、看護学に関する高度な研究能力を身につけるために必要な基礎学力を有している。
姿勢
  • 自他を尊重し、失敗を恐れず挑戦するしなやかな姿勢を身につける意欲を有している。
  • 社会的な視野に立って、人々の健康と福祉の向上ならびに看護学の進展に寄与したいという意欲を有している。
  • 地域住民の健康に関心を持ち、健康課題の明確化とその解決に向けた実践を通して、保健師として社会に貢献する意欲を有している。
行動
  • 自ら考えて表現すること、新たな価値を創造し、多様な人々と協働することへの意欲を有している。
  • 自身の経験知をもとに、柔軟な思考で考えを発展させて自身の問題意識や課題を表現できる。
  • 実践を通して課題を見いだし、改善や発展に向けて、研究的視点を持って課題を追究していこうとする意欲を有している。

看護学研究保健師コース修了生の主な就職先 

修了生は、保健師として、主に都道府県や政令市、中核市、その他の市町村に就職し、保健所や保健センター等で働いています。
保健師としての就職に向けては、エントリーシート作成の支援や模擬面接の実施等の丁寧なサポートを行っています。

【兵庫県】  兵庫県/明石市/神戸市/高砂市/西宮市/三木市

【大阪府】  大阪市/岸和田市/豊中市/羽曳野市

【京都府】  亀岡市

【滋賀県】  大津市

【神奈川県】 藤沢市

在学生・修了生の声

Aさん・20代

実習では、1年次に乳児と高齢者への継続家庭訪問を行います。訪問後は、実習指導者からの助言を受け、さらに学生同士で意見交換することで、視野が広がりました。対象者と徐々に信頼関係が築けていることを実感できた時は、とても嬉しかったです。

Bさん・20代

私はこれまで看護師として患者さんと関わっていく中で、病院看護師として患者さんの生活に合わせた退院指導を日々行っていました。退院してもすぐに戻ってこられる患者さんを多く目にする中で、地域での関わりの重要性や一次予防の必要性を強く感じ保健師を志すようになり、大学院で学ぶことを選択し進学しました。

〈進学への思い〉Aさん

私は、看護師養成課程の実習の時、糖尿病の患者さんを担当させていただきました。その時、患者さんが「もう、好きな物も食べられない、どうして糖尿病になったんだろう」と話されていたことがとても印象的でした。私は、病気になる前に何とかできなかったのだろうかと考えました。そこで患者さんにお話を伺うと「健診は何年も前に受けたが、最近は全く受けていない」とのことでした。患者さんとの関わりを通して、日頃の生活を健康的なものにし、病気になる前から病気を予防することがとても大切であることを強く感じました。糖尿病をはじめ生活習慣病になる人を一人でも減らしたいという思いから、保健師を志し、大学院で勉強することに決めました。

〈母子への継続家庭訪問での学び〉Bさん

最初は、家庭訪問で何をしたらよいのか、お母さんとどう接したらよいのか分からず、とても不安でした。訪問では、赤ちゃんの計測を行い、お母さんのお話を伺うことで精一杯でした。しかし、訪問を重ねることで、少しずつお母さんとも話ができるようになり、お母さんがどんなことに困っているのか、何を大切に子育てされているのか、家族の関係性や周りのサポートの状況も分かるようになってきました。家庭訪問をするということは、対象者の生活の場に出向いていくということであり、出向くことでしか見えない、分からないことがあるのだということを知り、訪問することの必要性を理解することができました。8回の訪問を終えて、家庭訪問を行うことに自信が持てるようになりました。保健師になっても、積極的に家庭訪問を行い地域の方々と共に考えていきたいと思っています。

〈2年間を振り返って〉Cさん

大学院では、ディスカッションを通して学びを深める機会が多くあり、相手の意見を尊重し自発的に自分の意見を述べる姿勢が身につきました。保健師コースでは、講義・演習・実習が連動して展開されており、机上での学びから実践への学びへとプロセスを踏みながら着実に力をつけることができました。実習は、1年を通じた継続家庭訪問や乳幼児健康診査、高齢者の憩いの場への参加など、とても充実していました。それらの経験をもとに、修士論文では、生活習慣病に着目し、若年期からの生活習慣病予防のアプローチを検討し、その結果を保健所や住民の方々に還元させていただきました。現在は、大学院での学びを基盤として、産業保健の分野で保健師として活動しています。

実習施設

(2025年5月現在)

保健所・保健センター

西宮市保健所

西宮市鳴尾保健福祉センター

西宮市中央保健福祉センター

西宮市北口保健福祉センター

西宮市山口保健福祉センター

西宮市塩瀬保健福祉センター

兵庫県朝来健康福祉事務所

朝来市健幸づくり推進課

養父市健康福祉部健康医療課

地域包括支援センター

西宮市高齢者あんしん窓口

 西宮市高齢者あんしん窓口・高須

 西宮市高齢者あんしん窓口・上甲子園

 西宮市高齢者あんしん窓口・浜甲子園

地域子育て支援拠点

武庫川女子大学子育てひろば