イーストフード

塩化アンモニウム


「食品添加物は毒」派の意見

DAILC008

 塩化アンモニウムは毒性が強く,イヌに6~8g経口投与すると1時間以内に死んでしまう。人間が大量に摂取すると,吐き気や嘔吐,さらには昏睡を起こすことがある。熱で容易に分解されるが,有毒なアンモニアと塩化水素が発生する。


「MOTTO!食品衛生」からのコメント

 「イヌに6~8g経口投与すると1時間以内に死んでしまう。」については急性毒性試験の結果を引用しています。急性毒性試験はどのくらいの量を一度に投与すれば実験動物が死に至るかということを調べる試験で,この試験結果を参考にして慢性毒性試験(反復投与毒性試験)や発癌性試験など長期間の試験の投与量を決定します。この投与量を間違えると試験の途中で実験動物が死亡するなどして,試験をやり直すことになり,実験動物の大切な命が無駄になってしまうのです。

 上記のデータはあくまでも人が安全に摂取することができる量を決定するために使われるデータですから,実際に私たちが食べる量ではありません。「人間が大量に摂取すると・・・」とありますが,食品添加物として大量に摂取することはありません。

 「熱で容易に分解されるが,有毒なアンモニアと塩化水素が発生する。」とありますが,塩化アンモニウムを食べてもアンモニアと塩化水素は発生しません。塩化アンモニウムは,生体内でアンモニウムイオンと塩素イオンになり,アンモニウムイオンは肝臓で尿素となって尿中に排泄されます。このような代謝は,通常体の中で行われています。

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