O111食中毒発生!

【はじめに】

 平成23年4月29日,ユッケを原因とする腸管出血性大腸菌O111による集団食中毒が発生いたしました。食中毒事件発生の経緯など詳細につきましては現在(5月7日)のところ十分に解明されていませんので,捜査の行方を待ちたいと思いますが,今回の食中毒の原因菌となった「腸管出血性大腸菌」について,情報提供をしておきたいと思います。


【O111ってなに?】

 O157は,堺市の学校給食による集団食中毒事件ですでにご存知だと思いますが,O111はあまり聞いたことがなかったと思います。O111もO157と同じく「腸管出血性大腸菌」の仲間で,O157ほどではありませんが食中毒の原因となっています。


【なぜこんな事件が起こったの?】

 原因は,いくつか考えられますが,食の安全に関する責任は,一義的には食品を提供する食品関連業者にありますから,ユッケを提供した店や食肉の卸業者の衛生管理に充分でない点があったことは明らかです。生食用の牛肉が全くと言っていいほど市場には出回っていませんが,食品関連業者は食肉のプロですから,それは十分にわかっていたことと思います。平成10年9月に当時の厚生省から通達が出ていますから,知らないでは通用しません。

 ただ,「ユッケ」はそれ以前より食べられてきたメニューであり,「食経験」から考えれば「今まで何も起こってないから大丈夫」という考え方もできるわけです。また,当時の厚生省も生肉によるO157食中毒を防止するために衛生基準を出したわけですが,残念ながら法的に強制力のない,罰則もない「通達」だったわけです。通達を出した厚生省側も当然「ユッケ」の存在は知っていたはずで,長い食経験のある「ユッケ」を規制するには至らなかったのでしょう。少し遠慮があったのかと推察します。

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