本当に効果は同じ?安全性も同じ?

 ジェネリック医薬品は,「先発医薬品と同じ成分,同じ効果」と宣伝されていますので,それを信じて患者さんはジェネリック医薬品を使っているのですが,はたして先発医薬品と同じ効果・効能が発揮できているのでしょうか。答えは,「わかりません」です。

 先発医薬品は,基礎研究,非臨床試験(動物実験),臨床試験(ヒト試験)を実施して,効果・効能や作用メカニズムを確認した上で,厚生労働省に申請し,認可されたものですから,効果・効能は科学的にしっかり証明されています。

 一方,ジェネリック医薬品は,「先発医薬品と同じ成分を使っているから,(たぶん)同じ効果を持っている」だろうという推測であり,実際に証明されているわけではありません。「生物学的同等性試験により,血中濃度の変化に差はないことを統計学的に証明している」といわれそうですが,血中濃度の変化が統計学的に同じであっても,効果が同じかどうかは臨床試験で比較しないとわからないのです。そう考えると,現在のジェネリック医薬品優先の動きは,ジェネリック医薬品の臨床試験を患者さんが治療費を支払いながらしているようなものかも知れません。

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 もう一つ,先発医薬品とジェネリック医薬品の効果・効能に大きな差を与えるものに,お薬に施される工夫の部分があります。お薬には,錠剤,カプセル剤,注射剤などさまざまな剤型がありますが,先発医薬品は有効成分が効果を十分に発揮するように,剤型を工夫しているのです。これが,「製剤特許」です。有効成分の物質特許が切れて,ジェネリック医薬品として利用できるようになっても,製剤特許が切れていなければ同じ剤型でお薬を作ることはできません。当然,先発医薬品は工夫したお薬を使って臨床試験をやっていますので,この工夫の有効性・有用性は科学的に証明されているということになります。

 この点も,「ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ効果」という謳い文句になかなか納得できないところなのかも知れません。

Since 1998.08.25〜 連絡先:松浦寿喜(chuchan_net@yahoo.co.jp)