特定保健用食品

 特定保健用食品は,身体の生理学的機能や生物学的活動に関与する特定の保健機能を有する成分を摂取することにより,健康の維持増進に役立ち,特定の保健の用途に用いることを目的とした食品です。簡単にいえば,体調を整える働きをもった成分を含んだ食品ですが,その食品の有効性と安全性は医学・栄養学的に証明され,消費者庁長官によって保健の用途や効果の表示が許可された食品です。当初は食品形態のもののみ許可されていましたが,錠剤やカプセルなど医薬品的な形状のものも許可されるようになりました。

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  特定保健用食品の成分と機能としては,オリゴ糖,乳酸菌,食物繊維などを含む「おなかの調子を整える食品」,大豆タンパク質などを含む「コレステロールが高めの方の食品」,ペプチドなどを含む「血圧高めの方の食品」,グァバ茶ポリフェノールなどを含む「血糖値が気になり始めた方の食品」などがあります。

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 特定保健用食品としてその機能を表示するためには,申請された食品ごとに科学的な根拠となる様々な試験を行い,消費者庁(2009年8月までは厚生労働省)に申請しなければなりません。また,2005年には新たに「条件付き特定保健用食品」,「特定保健用食品(規格基準型)」,「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)」の3つの表示が認められるようになりました。

 申請に必要な主な資料は,食品および関与成分について,「保健の用途および1日当たりの摂取量の目安等を医学・栄養学的に明らかにする資料」,「安全性に関する資料」,「安定性に関する資料」,関与成分の「物理・化学・生物学的性状およびその試験方法に関する資料」,「品質管理方法に関する資料」などです。特に,「保健の用途および1日当たりの摂取量の目安等を医学・栄養学的に明らかにする資料」,「安全性に関する資料」については,in vitro(試験管内での試験),実験動物を用いた試験およびヒトを対象とした試験などの資料が必要となります。特定保健用食品の場合,医薬品に比べ効果が穏やかなことから,ヒトを対象とした試験では大きな効果が得にくく,申請メーカーからは「トクホの許可をとるのは医薬品より難しい」といわれていますが,効果や安全性に何の保証もない健康食品と区別する上では消費者にとって有用な制度であるといえます。

 特定保健用食品が表示しなければならない内容としては,特定の保健用途の表示,1日当たりの摂取目安量,摂取方法,摂取する上での注意事項などであり,消費者にとってはいわゆる健康食品より的確に利点が判断できるものとなっています。

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