改善・改革の取り組み

※学生向けに公開した内容からの抜粋です。文中の「皆さん」は、学生のことを指しています。

建築学専攻

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 本専攻は、学部建築学科と連続した6年一貫教育によって、高度知的専門職能人としての建築家及び専門家を養成するための修士課程と、高度で幅広い学識を有し、社会において指導的な役割を担う建築家、研究者を養成するための博士後期課程によって構成されます。以下は修士課程について述べます。博士後期課程については、日々の指導の中で要望を汲み取り、改善していきます。
 修士課程では、6年一貫教育によって育成しようとする自立した建築家像と、修了生が到達すべき学習・教育到達目標を設定し、これらに到達するために必要な教育課程を編成しています。修士課程2年前期までの1年半は、全員が専攻共通の授業を履修し、入学時に研究室に配属しないため、学部からの持ち上がりによる担任制を敷いています。教育課程の中核をなすスタジオ教育は、一級建築士受験に必要な実務経験要件を満たすために必要なインターンシップ科目と、学部より高度かつ実践的な課題に取り組む演習科目によって構成され、全授業時間の過半を占めます。また、これらの科目と連関した理論科目、フィールドワーク科目、語学科目も開講しています。最後の半年間は修士設計もしくは修士論文に取り組むカリキュラムとなっています。このように従来の研究中心型の大学院とは異なり、専門職大学院的な教育課程を編成しているため、62単位以上の修得を修了要件としています。
 この教育課程によって、6年一貫教育の修了生全員が、一級建築士受験資格に必要な実務経験2年を満たし、修了後ただちに一級建築士の試験を受験でき、またこの6年一貫教育は、JABEE(日本技術者教育認定機構)から、日本初の建築系学士修士課程プログラムとして認定を受けています。これにより、UNESCO-UIA 建築教育憲章対応プログラムとして国際的に認められています。
 本専攻修士課程では、このような特色を踏まえた改善・改革に取り組む必要があります。そのため、改善・改革の方策の検討に先立って、修士課程1年当時本調査に回答した修士課程2年生に対し、同じ項目を再度回答してもらうとともに、その理由をできる限り記載してもらい、より正確な現状の把握を試みました。以下にその結果も踏まえた改善・改革の方策を述べます。

授業について

 上記Bの「新しい研究分野」という言葉の捉え方が学生の皆さんによって様々でしたが、共通して教員の研究内容を十分に理解していない点が見受けられました。また演習科目やインターンシップ科目(建築設計実務)も含め、本専攻の授業は、学問的だけでなく、建設業界の実務的な意味においても、最先端の内容を多く含んでいますが、そのことについても十分な認識がないと感じられました。今後各科目の授業方法を工夫することによって、教員の研究内容や、最先端の授業内容に対する理解を深められるように努めていきます。また今年度より、修士課程2年夏のゼミ配属の際、全教員が改めて各自の研究内容の説明を行うように改善しました。
 Cについては、本修士課程は一級建築士受験資格に必要な実務経験2年、およびUNESCO-UIA建築教育憲章に対応しているため、修了のためには専攻内の科目を62単位以上修得する必要があります。それに加え、他研究科とはキャンパスが離れているという物理的な問題もあり、改善・改革による対応が困難と考えています。

教育・研究環境について

 上記Gについては、多くが、修士課程2年夏のゼミ配属後の、修士設計あるいは修士論文のみを研究活動として考えており、その期間が短いため、研究活動に協力的ではないと考えていることが判明しました。ゼミ配属以前の1年半の授業も、研究と密接に関連があることを理解してもらうために、各科目の授業方法や担任指導等を工夫します。

教員について

 上記Hについては、調査の際に、学生自身の研究レベルなのか、教員の研究レベルなのかがわかりやすく示されていなかったため、中には前者と受け取って回答したケースもあることが分かりました。学生の皆さんが、現段階では自分自身、まだ十分な研究が行えていないと考え、低いと回答した可能性が考えられます。このことに対する改善・改革の方策は、「教育・研究環境について」で述べた通りです。
 教員の研究レベルについては、特に修士課程1年生の皆さんは、教員がどのような研究を行っているかを理解しないまま、アンケートに回答した可能性があると思われます。建築学専攻の教員は、これまでiaSU国際会議、トルコ文化研究センター紀要等を通して研究成果を世界に公開し、研究レベルの向上に努めています。今後研究レベルのさらなる向上に努めるとともに、各科目の授業方法を工夫することによって、研究内容の周知を図っていきます。なお既に述べた通り、今年度より、修士課程2年夏のゼミ配属の際、全教員が改めて各自の研究内容の説明を行うようにしました。
 Kの項目については、修士課程2年生への再アンケートの際には評価が向上しました。今年度修士課程の学生の皆さんに、博士後期課程のゼミへの参加を呼びかけてみましたが、参加を希望する者はほとんどいませんでした。ゼミ配属までは、目先の授業や課題に追われて、長い目で修士設計や修士論文のテーマを考えることは少ないようです。専門職大学院的なカリキュラムをもつ本修士課程ですが、修士課程1年の段階から研究への関心を高めるよう、授業方法や担任指導等の工夫に努めます。

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