改善・改革の取り組み

※学生向けに公開した内容からの抜粋です。文中の「皆さん」は、学生のことを指しています。

臨床教育学専攻

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  総  括

 今回の満足度調査の結果は、ある意味で本専攻の特性を示したものと言えます。今日大学院の大きな問題となっている、修了後の就職については、特に要望が示されていません。これは、在籍者の多くが社会人で、職を持っていることに由来していると考えています。大学院を修了してキャリアアップを図るケースもありますが、個別のインタビューなどでは、社会人であることから、精神的なゆとりを持って活動できたとの声が寄せられました。
 博士後期課程への進学などは各自のキャリア設計に合わせて長期的展望を持って自ら計画しており、進学相談などは各教員の専門と照らし合わせた上で、皆さんから助言を求めてくることが多くなっています。そのような場合には各教員が丁寧に相談に応じており、その結果として内部からの博士後期課程進学者がほぼ毎年見られます。このことが教育面での評価の高さに反映されていると考えられます。
 これに対して学習環境などへの満足度は低くなっています。夜間開講という時間的な制限があり、関連教科を受講できないという改善要求はもっともなことであると受け止めています。また、学会発表などの支援についても、皆さんの学習意欲を反映して、十分ではないと受け止められているものと考えます。学習環境としての教室整備については、大教室へのマルチメディア卓の設置、情報処理室の新設などの対応が終わり、さらにカンファレンスルームなどの設置計画を進めているところです。
 研究面については、教員の研究者としての側面が十分に伝わっていないことが結果から推察されます。本専攻では、時間的制限もあり、教育と研究指導の質を担保するため、教員には教育者としての役割が強く求められています。皆さんに対して、自らの研究活動の発信をすることよりも、皆さんに対する教育活動と研究指導を優先せざるを得ない状況が専門や領域を問わず発生しています。教員の研究発信は皆さんの研究力とも関係するため、研究機関としての役割を強化するというビジョンのもと、本学の「教育に熱心な大学」としての特徴が色褪せることなく、「教育も研究も」という優れたバランスの実現のため、専攻としての取り組みを進めていきます。

授業について

 授業に対する満足度は、概ね良好と捉えています。上記@ABの各項目については、本専攻の目的である、現場での実践力と繋がる教育が果たせていることの反映と言えます。これに対して、Cについては修士・博士後期課程ともに改善希望が上がっています。本専攻は夜間開講であり、また皆さんは日中、教員や保育士、看護師、福祉士などの対人援助職として現場で働きながら、夜間開講の授業を履修しているのに対して、他の専攻は日中が開講時間であるため、システム的に他研究科開講科目の履修は困難です。対応策としては、本専攻で開講されている授業の充実といった現状維持に努めるに留まらざるを得ないと考えています。

教育・研究環境について

 授業への満足度に比べると、教育・研究環境については満足度がやや低くなっています。この中で、修士課程の上記EFの結果については、博士後期課程においてすでに学会発表の旅費支援を行っており、一定の成果をあげつつあることから、修士課程に特異的な問題であると受け止めてます。また、Gについての評価が高いことからも、学外での研究活動に対する支援を強く求めていることが考えられます。本専攻では、これまでも諸学会の開催日程や場所などのアナウンスを積極的に行っていますが、皆さんは社会人という立場であり、仕事との調整が難しい点も影響していると考えています。今後博士後期課程同様に旅費の補助など、修士課程においても学会発表、参加への支援を進め、在籍中に何度かの学会参加ができるように、情報提供と支援の強化を図っていきます。

教員について

 修士課程において、上記Hの結果が低くなっていますが、この理由として2つのことが考えられます。一つは、博士後期課程の指導が研究を中心とした個別性の高いものであり、教員の研究活動とも強く関係しているのに対して、修士課程ではコアカリキュラムや専門基礎にあたる講義科目が多く、教員の研究活動について深く触れる時間が得られていないという可能性です。これに対しては、修士1年生の7月に行われるゼミ決定のための教員訪問を活用することができます。自分の研究がゼミと合っているかを確認するためのゼミ訪問に先立って、教員自身の研究についての懇談会を持つことなどは、全体の活性化にもつながると考えています。二つ目は、研究そのものについての意識が十分に醸成されていない可能性です。皆さんが行っている実践活動も実践的研究となりうるのですが、研究の方法論を含めた基礎的な情報が伝わっていないと、このようなことが生じる可能性が高くなります。本専攻ではこれらの認識のうえに、量的調査に関する研究法科目に加えて、平成26年度から質的調査法の授業を1科目増設し、体系立てた授業を展開します。
 コミュニケーション面については、少人数、対面授業の成果が現れていることから、引き続き充実させていきます。

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